胸を打つ「存在してくれただけでありがとう!」の言葉
報道によると、晩年のマラドーナ氏は薬物やアルコールとの戦いが続くなど往年の輝きを失っていたようです。ある海外メディアは「マラドーナ氏の人生はお得意のドリブルのようにジグザグだった」と評していました。
それでも、「問題ばかりだけど、愛さずにはいられない」といった不思議な魅力にあふれていたらしく、著名人がこぞってマラドーナ氏への思いを述べています。
アルゼンチン代表の監督と選手という関係だったリオネル・メッシ氏は、インスタで次のようなメッセージを公表しました。
He leaves us but does not leave, because Diego is eternal.
彼は亡くなったが去ってはいない。なぜならディエゴは永遠だからだ。
I keep all the beautiful moments lived with him
私は、彼と過ごしたすべての美しい瞬間と共にいる。
う~ん、世界を代表するトップスターが共に過ごした「the beautiful moments」(美しい瞬間)ってどれだけ素晴らしかったのでしょうか。二人だけに通じる世界感があったのでしょうね。繊細なメッシらしい、美しいメッセージでした。
サッカーの「王様」と呼ばれた元ブラジル代表のペレ氏は、自身のツイッターで「One day, I hope we can play ball together in the sky」(いつか、天国で一緒にサッカーをしよう)と、思いをつづっています。天国ではなく、二人が地上でサッカーをする姿をもう一度見たかった、というファンも多いのではないでしょうか?
ポルトガル代表のクリスティアーノ・ロナルド氏は、自身のツイッターにマラドーナ氏とのツーショット写真を掲載。マラドーナ氏のことを「An unparalleled magician」(比類無きマジシャン)だったと評し、「You will never be forgotten」(決して忘れ去られることはないだろう)と、永遠の別れを悲しんでいました。
数多くのメッセージのなかで、私が一番「胸キュン」となったのは、マラドーナ氏の母国アルゼンチンのアルベルト・フェルナンデス大統領のコメントでした。全国民が3日間の喪に服し、大統領官邸で通夜が営われるなど「国を挙げて」祖国の英雄を弔うことを決定する一方で、次のような声明を発表しました。
You took us to the top of the world.
(あなたは私たちを世界の頂上に連れて行ってくれた)
You made us immensely happy
(あなたは私たちを、とてつもなく幸せにしてくれた)
Thank you for having existed, Diego.
(ディエゴ、存在してくれてありがとう)
「存在してくれてありがとう」とは、なんとステキなことばでしょうか。紆余曲折あったにせよ、マラドーナ氏の存在がどれだけアルゼンチン国民の誇りだったのか。良いも悪いも、現役時代の輝くようなプレーも引退後の苦しむ姿も、すべてを包み込んで同時代に生きてくれたことに感謝する......。そんな思いがひしひしと伝わってきます。