新型コロナウイルスの感染第3波の到来で先行きが混とんとするなか、例年なら忘年会やクリスマスなどのかき入れ時を迎える居酒屋で、2020年10月までの倒産件数が、すでに年間の過去最多を上回った。企業信用情報の帝国デーバンクの調査でわかった。11月20日に発表した。
Go Toイートキャンペーンで盛り上がっていた回復ムードも、強烈な第3波のせいで一転。倒産の発生ペースが加速する可能性が出てきた。
Go Toイートの回復ムードに影
調査によると、2020年1~10月の居酒屋業者の倒産は164件発生し、過去最多となった2019年の161件を10月までに更新した。
月別でみると、政府より緊急事態宣言が発令された4月が23件と最多。5月(9件)は、裁判所や弁護士事務所の業務の大幅縮小などの影響で減少したが、6~10月は13~18件と高水準で発生し続けている。
帝国データバンクでは、「年間で200件に達する可能性」を指摘している。
地域別でみると「関東」が50件で全体の30.5%を占めて最多。次いで「近畿」の49件(29.9%)、「中部」が22件(13.4%と続いた。「関東」「北陸」「九州」では、すでにそれぞれの地域の年間最多を更新している。
2020年に国内外で猛威を振るい始めた新型コロナウイルスは、人手不足や消費増税の余波など、従来から課題を抱えていた居酒屋の経営を追い討ち。しかし、持続化給付金などの政府の支援策で窮状をしのいだ店は少なくなく、10月から始まったGo Toイートキャンペーンの後押しで客足も戻りつつあるところだった。
ところが、そうした回復ムードを感染拡大の第3波が吹き飛ばした。感染者数が日を追って増え、その規模は緊急事態宣言が出されたころを上回っている。菅義偉首相が11月25日の衆院予算委員会の答弁で、「トラベル」を含めたGo Toキャンペーンの見直しに否定的な姿勢を示したが、各都道府県では「イート」見直しの声が強まっており、取り戻した明るさにも影が差している。
東京商工リサーチが11月に実施し、全国約1万社から回答があった「忘・新年会に関するアンケート」によれば、9割の企業が2020~21年は忘・新年会を開催しない予定。感染再拡大を受けて、戻っていた客足が遠のき、予約のキャンセルも増えており、居酒屋をはじめ飲食店から悲鳴が上がっている。