新型コロナウイルスのワクチン開発の進展と、感染第3波の勢いとの「綱引き」で、株式と為替相場が揺れている。ワクチン開発の進展で好感した東京株式市場は、日経平均株価が29年ぶりの2万6000円台に到達。しかし、世界的な感染第3波は国内でも新規感染者数が過去最高を更新しており、経済に与える影響が警戒されている。
欧米でも景気の減速懸念が強まるなか、中央銀行による、もう一段の金融緩和の可能性が強まっており、ドル売り材料となりそう。1ドル=103円台への円高進行となれば、株式の嫌気材料になるかもしれない。
どうなる!? 今週の株式・為替マーケット!
東京株式市場 株価2万6000円到達で利食い売り
日経平均株価予想レンジ:2万5000円~2万6000円
2020年11月20日(金)終値 2万5527円37銭
今週の東京株式市場の日経平均株価は、上値の重い展開か。
前週の日経平均株価は3週連続で上昇し、1991年5月以来、29年ぶりに2万6000円を回復した。新型コロナウイルスのワクチン開発の進展を好感した買いが相場を引き上げたが、その後はコロナ禍の感染拡大により、相場は失速した。2万6000円を達成したことで、利食い売り圧力も高まった。
今週の日経平均株価は、上値の重い展開となりそうだ。日経平均株価の上昇局面では利食い売り圧力が強まっている。加えて、国内では新規感染者数が過去最高を更新するなど、新型コロナウイルスの感染拡大が続いており、警戒感が強まっている。また、1ドル=103円台への円高進行も嫌気材料となりそうだ。ただ、新型コロナウイルスのワクチン開発の進展という好材料が下値を支えていることから、2万5000円台での下値固めとなりそうだ
東京外国為替市場 くすぶるドル売り材料
ドル・円予想レンジ:1ドル=103円00銭~105円00銭
2020年11月20日(金)終値 1ドル=103円85銭
今週の外国為替市場でドル円相場は、引き続きドルの上値が重い展開か。
前週のドル円相場は、弱含みに推移した。新型コロナウイルスのワクチン開発の進展を材料に、一時ドル買い・円売りが優勢となったが、その後は新型コロナウイルスの急激な感染拡大が嫌気され、リスク回避のドル売りが優勢となり、ドル円は1ドル=103円後半にドルが下落した。
今週のドル円相場は、引き続きドルの上値が重い展開になりそうだ。世界的な新型コロナウイルスの感染拡大第3波により、景気の減速懸念が強まっている。加えて、これに対処するため、欧米の中央銀行による一段の金融緩和の可能性が強まっており、ドルの売り材料となりそうだ。
経済指標は、国内では26日に9月の景気動向指数、27日に11月の東京都区部消費者物価指数などが予定されている。
海外では、24日に米国の11月のCB消費者信頼感指数、25日には米国で10月の個人所得と個人支出、10月の耐久財受注、7~9月期GDP(国内総生産)改定値、10月の新築住宅販売件数、11月4日、5日に開かれたFOMC(米連邦公開市場委員会)議事要旨などが予定されている。
(鷲尾香一)