先代は最大の味方だった
その頃、父は代表としての動きをしていないように見えた。それでも「俺の会社だ」とよく口にするため、大澤氏は反発した。亡くなる前に「お前の最大の味方は俺だぞ」と話した真意を理解できたのは、父が亡くなってからだという。父に変わってもらうことばかり考えていた、と悔やむ。
「私が変われば、父は、父としても先代経営者としても、最高の味方となったのです」
先代はリソースと思え。超えるものでもライバルでもない、と書いている。
本書の構成は、以下のとおり。
第1章 新米社長が会社をつぶす本当の理由――経営のWHYとHOW
第2章 二代目社長はやりたいことをやろう――社員が辞めることを恐れない
第3章 二代目社長のメンタルの保ち方――非難や反発とどう折り合うか
第4章 社長は自ら社員に好かれようとしてはいけない――適度な距離感で主体性を引き出す
第5章 社員を幸せにするのは社長の仕事ではない――社長という肩書の価値観を壊す
第6章 会社経営では捨ててはいけないものがある――捨てない選択基準
最初に二代目社長の試練は、先代と比較されることだ、とも書いている。先代と比べられるため、チャレンジや改革がことごとく否定されがちだ。そこから「守り」に入ることを戒めている。
二代目社長が自分を発揮して、事業を通して社会に貢献できる企業に会社を成長させるためには、人材や事業、会社そのものなど、今すでにあるものさえ「手放す覚悟」が必要だ、と力説している。
すでに会社や社員、事業基盤があるからこそ、二代目社長は思い切り新しいことにチャレンジしやすい立場だとも。起業家よりもはるかにアドバンテージがあるのだ。