危機は最大のチャンスになり得た
ただ、それは同時に、社民党が復活できる最後のチャンスでもあったように思う。たとえば、福島瑞穂代表が開き直って、こんな正論を言っていたらどうだったろう。
「政党であれ企業であれ、予算に限りのある組織が職員の人生を丸抱えすること自体に無理があるのです。仮にできたとしても、その陰には雇用調整のしわ寄せをすべて引き受けさせられる非正規雇用労働者が存在するはずです。企業は経営に専念してもらい、経営が悪化すれば解雇も認められるべきでしょう。雇用からあぶれた人は正規非正規問わず、国が面倒みるべきであり、我々社民党はそのためのセーフティネットの構築をマニフェストの第一に掲げます」
民主党や、その後継政党の支持率がいつまでたってもパッとしないのは、彼らが「労働者政党」といっても大企業の正社員のほうしか向いておらず、その他の労働者からみれば支持するメリットなど何もないことが理由だと筆者は見ている。
それ以外の選択肢を社民党が有権者に提示することができれば、ここまで落ちぶれることもなかったのではないか。
ちなみに、世界には実際にそうした選択肢をとった左派政党も存在する。1990年代以降に企業に柔軟な解雇を認めつつ、幅広い社会保障を実現して経済成長と福祉の両立を実現したスウェーデン社会党が代表だ。
もっとも、最後の党大会においてすら、「おまえのせいだ」と責任の押し付け合いに終始する老人たちを見るに、彼らがその選択肢を理解できた可能性はやはりゼロだったのだろう。(城繁幸)