消えゆく社民党 支持層だった労働者に見限られた致命的な出来事(城繁幸)

人気店や企業から非公開の招待状をもらおう!レポハピ会員登録

危機は最大のチャンスになり得た

   ただ、それは同時に、社民党が復活できる最後のチャンスでもあったように思う。たとえば、福島瑞穂代表が開き直って、こんな正論を言っていたらどうだったろう。

「政党であれ企業であれ、予算に限りのある組織が職員の人生を丸抱えすること自体に無理があるのです。仮にできたとしても、その陰には雇用調整のしわ寄せをすべて引き受けさせられる非正規雇用労働者が存在するはずです。企業は経営に専念してもらい、経営が悪化すれば解雇も認められるべきでしょう。雇用からあぶれた人は正規非正規問わず、国が面倒みるべきであり、我々社民党はそのためのセーフティネットの構築をマニフェストの第一に掲げます」

   民主党や、その後継政党の支持率がいつまでたってもパッとしないのは、彼らが「労働者政党」といっても大企業の正社員のほうしか向いておらず、その他の労働者からみれば支持するメリットなど何もないことが理由だと筆者は見ている。

   それ以外の選択肢を社民党が有権者に提示することができれば、ここまで落ちぶれることもなかったのではないか。

   ちなみに、世界には実際にそうした選択肢をとった左派政党も存在する。1990年代以降に企業に柔軟な解雇を認めつつ、幅広い社会保障を実現して経済成長と福祉の両立を実現したスウェーデン社会党が代表だ。

   もっとも、最後の党大会においてすら、「おまえのせいだ」と責任の押し付け合いに終始する老人たちを見るに、彼らがその選択肢を理解できた可能性はやはりゼロだったのだろう。(城繁幸)

人事コンサルティング「Joe's Labo」代表。1973年生まれ。東京大学法学部卒業後、富士通入社。2004年独立。人事制度、採用等の各種雇用問題において、「若者の視点」を取り入れたユニークな意見を各種経済誌やメディアで発信し続けている。06年に出版した『若者はなぜ3年で辞めるのか?』は2、30代ビジネスパーソンの強い支持を受け、40万部を超えるベストセラーに。08年発売の続編『3年で辞めた若者はどこへ行ったのか-アウトサイダーの時代』も15万部を越えるヒット。ブログ:Joe's Labo
姉妹サイト