これはインタビューの鉄則!
当時、インタビューのコンタクトは電話でした。契約内容はオープン情報ではなく、クローズド情報を調べてレポーティングことが求められます。たとえば、生産拠点の体制や生産能力、新商品開発などがあげられます。
クローズド情報は、工場や研究所のほうがなまめかしい話が聞けます。工場や研究所は会社の機密情報がつまっていますからアポイントは入りません。電話がベターなのです。
国会図書館に行って、工場や研究所の連絡先が書いてある資料(電話帳が一番使い勝手がよい)を探します。数年間にさかのぼれば、電話番号が記載しているものを探すことができるはずです。上場企業の場合は、有価証券報告書に記載されていますが、非上場の場合はこのような手段を駆使しながら情報を集める以外にありません。
同僚で電話取材の達人がいました。相手を電話口に呼び出して警戒感を解き、自らが知っている情報を小出しにしながら、1時間以上みっちり聞き込みます。導入から数分程度で、フレンドリーな関係が構築されて、相手は勝手にぺらぺら話し出します。電話1本で数千万円の受託案件の実査が完了しますから、これはすごい技術でした。
人は、自分の話したいことを聞いてくれる聞き手を信頼します。聞き手がネガティブ・ケイパビリティの態度でいるほど、安心して深い話になります。話し手の信頼を獲得することは、聞き上手の証しです。そのためには、まずは相手に主導権を渡さなければいけないのです。(尾藤克之)