主人公を助ける役目は「青」だけど、鬼滅の刃では......
次に、主人公をサポートする友人の色と言えば、青が多く、戦隊モノだと冷静な分析をして主人公を助けるのは、青の役目。ドラえもんでも、主人公ののび太くんを助けてくれるのは、青いドラえもんです。ところが、鬼滅の刃で、仲間として行動するのは、黄色と藍ねず色のキャラクターなんですね。組み合わせが独特です。
「黄色」のキャラクターは、我妻善逸(あがつまぜんいつ)です。唯一、色とキャラクターがマッチしています。善逸は、すぐに弱音を吐き、自分に自信が持てない少年です。のび太くんをイメージしてもらうとわかりやすいと思いますが、黄色と言えば、少し頼りない色として使われます。または、ミニオンのような場を明るくしてくれるムードメーカーの色でもあります。善逸は、どちらも兼ね備えたハイブリット型です。
一方、「藍ねず色」は嘴平伊之助 (はしびらいのすけ)というキャラクターです。被り物の猪はねずみ色。隊服や髪、瞳の色は青に近い藍色。そして刀の色が藍ねず色。従来は、ルパン3世に出てくる五右衛門のように、おとなしくて知的な色として使われますが、このキャラクターは、誰彼かまわず勝負を挑む野性的な少年です。
緑と黄色という組み合わせだけでも珍しいのに、そこに加わるのが、およそ従来の青系キャラの知的さとはかけ離れた存在なんです。
この個性的なキャラクター達のバランスを取るのが、従来の戦隊物だと緑レンジャーなのですが、鬼滅の刃のおもしろいところは、二人のバランスを、緑の主人公、炭治郎がとっているところです。
ちなみに、今映画で話題の煉獄杏寿郎 (れんごくきょうじゅろう)が「赤」。主人公らしい色をしています。強くて正義感に溢れ、ヒーローらしい存在です。まさに映画の主役にふさわしいのです。ただ漫画全体の中では、活躍する場面は映画の部分1巻分くらいと少ないです。
このように、鬼滅の刃の世界では、従来の色使いから少しハズした色の使い方をしています。それがとても新鮮です。そして、これまでの漫画にはない、独特な世界観に繋がっているようです。もちろん、漫画も映画もおもしろいですから、まだまだヒットは続きそうですね。(入澤有希子)