身近にある食べ物で「長く」「たくさん」摂取する
アジュバント効果を発揮すると研究されている食べ物には、舞茸やシイタケ、ヨーグルトがある。順天堂大学大学院医学研究科研究基盤センター 細胞機能研究室の竹田和由准教授は、その理由を、こう説明する。
「舞茸やシイタケ、ヨーグルトには、NK細胞(ナチュラルキラー細胞。リンパ球の一種で、体内でウイルスに感染した細胞などを排除する)の活性を上げるという報告があり、NK活性を上げる成分とアジュバント効果を発揮する成分は同じようです。したがって、ほかのきのこ類やヨーグルトにも同様の効果を発揮する成分が含まれていると考えられます」
竹田准教授によると、よりアジュバント効果を高めるには、量を摂るのも大切だが、ワクチンを投与する前から長い期間にわたって摂取する必要があるという。
「舞茸の研究の場合は、有効成分を濃縮して錠剤を使っての結果ですので、きのことして摂るのであれば、それなりの量を食べる必要があると考えられます。ですので、焼くよりは鍋のほうが良いでしょう」
と、やはり寒い季節には鍋料理が合っている。
また、ヨーグルトについては、
「免疫を上げるとされている乳酸菌、特に1073R-1株には、NK細胞を活性化すると同時に、獲得免疫に情報を提供する樹状細胞と呼ばれる細胞を活性化することで、インフルエンザワクチンの効果を高めるアジュバント効果が発揮されると考えられます。また乳酸菌の直接的、あるいは腸内フローラの改善による免疫の活性化効果も、アジュバント効果の発揮に関与しているとも考えられます」
と説明。
「ヨーグルトに含まれる免疫活性化物質の多くには、ある程度の熱耐性がありますので、少しくらい加熱しても問題ありません。ですので、そのままではなく、加熱料理に応用しても効果があると考えられます」
と、たとえば毎日の朝食としてヨーグルトを食べるほか、幅広い食べ方で摂取できるようだ。