「コロナ対策最優先」バイデンの米国がどう出るか?
こうした措置に、東京都が危機感を募らせていると、毎日新聞(11月17日付)「『第3波』都財政ひっ迫」が報じている。
「東京都も経済波及効果への期待から何としても開催したい意向だが、足元では感染拡大に直面している。医療現場から開催を不安視する声が上がっている。真夏の開催では熱中症の対応も必要で、感染拡大と重なれば地域医療が大混乱に陥る。都医師会の尾崎治夫会長は『医療機関はかなり疲れている。海外から多くの人が入ってきたら、対応する医療体制を組むのは難しい』と指摘する」
東京都にはもう一つ厄介な問題がある。来年の東京五輪直前の7月に都議会議員選挙があるのだ。
「都幹部は『感染が収まらなければ、五輪なんかやっている場合じゃないだろうという声が強まる可能性がある。追加経費も含めて、いかにして都民に理解してもらうかが重要になる』と話した」
こうしたさまざまな思惑や心配も、ある超大国の動向によって一発で吹き飛んでしまいそうだ。米国である。じつは、大会関係者が一番気を揉んでいるは、バイデン次期米大統領の意向だという。米国では1日の感染者が過去最多の10万人を突破。感染者数は1100万人に達した。バイデン氏は経済を優先させたトランプ氏とは逆に「コロナ対策を徹底的に行う」と宣言して政策の最重要課題に掲げている。
今年3月、IOCが来年への延期を決めた背景には、米国の選手たちや競技チームから開催の反対声明が相次いだことがあった。その当時よりも感染が拡大しているのだ。オリンピックどころではないだろう。朝日新聞(11月17日付)「開催可否バイデン氏の意向は? 組織委幹部注視」が、こう伝える。
「ある組織委幹部は『大統領選で勝利を確実にしたバイデン氏が、五輪についてどう考えているか心配だ』。仮に多くの米国選手が参加しないことになれば、多大な放映権料を支払う米テレビ局に与える影響は大きく、大会が開けなくなる可能性もあるという見方だ。さらに複数の大会関係者は『延期が決まった今春のように、選手らから開催反対の声があがるのでは』と危惧する」
来年までコロナ感染が終息しなかった場合、バイデン氏と米国がどう出るのか――。開催の決定的なカギを握っているわけだ。
(福田和郎)