時代を先取り「ホラクラシー」 ティール組織に挑んだ「ザッポス」

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目指すのは「管理職のいない組織」

   シェイCEOが理想に燃え、ザッポスを自己組織化する組織にしようとする試みは、ホラクラシーをツールにティール組織を目指す道を進む。ティール組織は、しばしば達成型組織と対比され、同僚との関係性のなかで働くシステムなどを備えるもの。シェイCEOは、2015年3月に全社員にメールを送り「ホラクラシーは目的ではなく一つのツールであり、ティール組織を目指す」と明言。管理職のいない組織への完全移行を宣言した。

   しかし、ホラクラシーを実行しているプロセスの中でも、たとえばサークルという新たに採用されたフレームで、フレームごとにリーダーの存在があり、そのマネジメントの範囲がわかりにくかった。それが社内では「カオス」ともいえる状態として現れていた。

   ティール組織を目指すという宣言は、方向をきちんと示して混乱を鎮静化する狙いもあったが、裏目に出てそれ以上にパニックになった。

   そこでシェイCEOは、今度は「ティール・オファー」として知られる提示をすることになり、社内ばかりか世間をも驚かす。オファーは、行動を共にできない社員の離脱を容認したもので、給料の3か月分などを条件とする退職パッケージを提案した。これに18%の社員が応じ会社を去ったという。

   本書では、その後にザッポスがティール組織へと進化を遂げたプロセスが詳しく語られる。また、ホラクラシーの導入に戸惑い悩んだ社員や、ティール・オファーに応じて辞めた人たちの声も収められている。ホラクラシーやティール組織を視野に入れ、新しい経営を志すスタートアップの人たちには参考になるに違いない一冊。

「ザッポス伝説2.0 ハピネス・ドリブン・カンパニー」
トニー・シェイ著
ダイヤモンド社
1700円(税別)

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