都市にあるレジリエンスを企業に!
シェイCEOは、都市にレジリエンスがあることを見出す。時の試練に耐えて変わらず、それなりの規模を維持し続けるあり方は「大規模な自己組織の理想的な手本という意味でも最適」という。
都市の規模が2倍になると、住民1人当たりのイノベーションと生産性は15%向上するなど、都市には指数関数的な性質がある。ところが企業では、組織の規模が倍加すると生産性は大幅に低下する傾向がある。
ヒエラルキー型の企業では、一つのことが効率的になって改善されるとうまく機能するが、強い競合企業や別のテクノロジーが登場するなどのイノベーションがあると途端に機能しなくなる。かつて偉大だった企業が、レジリエンスをもたなかったため姿を消した例は少なくない。
シェイCEOは、ザッポスを都市のような自己組織化のシステムに移行させるため2014年1月にその第一歩を踏み出す。それがホラクラシーの導入だ。
本書によると、ホラクラシーは、自己組織化に向けて組織を後押しするためのガイドラインや構造。つまり、自己組織化を達成する手段だ。従来の会社は1人が所属するチームは1つで1つの基本的職務を担うが、自己組織化する組織では1人が複数のチームに所属し、さまざまな取り組みに参加できる。
このことだけでも「革命に近い変化」であり、多くの斬新なアイデアを生み出し、停滞や生産性の低下をもたらす「組織のサイロ化」の解消を促す効果がある。