時代を先取り「ホラクラシー」 ティール組織に挑んだ「ザッポス」

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   ザッポスは米国のオンライン・シューズショップ。1999年に創業し、インターネットで靴を売るのは不可能と考えられていたのを覆して、急成長を果たしたことで知られる。あのアマゾンが大いに期待して投資したことで、日本でも一躍有名になった。

   成長を支えたのは、「あらゆる人への心からのサービス」。顧客ファーストを徹底した経営は全米の注目を集めた。いち早く実行したのは「ホラクラシー」の導入だ。

「ザッポス伝説2.0 ハピネス・ドリブン・カンパニー」(トニー・シェイ著)ダイヤモンド社
  • 都市のような自己組織化のシステムに移行…
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企業の寿命迎え決断

   「ホラクラシー」は、役職がない自由な組織づくりをいう。複雑化・多様化が進む次世代で、有効な組織運営法とされる。本書は、ザッポスのトニー・シェイCEO(経営最高責任者)らが、顧客サービスと将来の成長を目的に取り組んだ改革の軌跡を明かした。

   米国の代表的株価指数「S&P500」を構成する企業の平均寿命は約15年という。1999年創業のザッポスの15年目、2014年にシェイCEOはこう考えた。

「その時の私たちが惰性で進み始め、『効率化』と『削減』という典型的な道を歩み、居心地のいいゾーンにとどまるな、やがて衰退するだろうとわかっていました」

   企業は一般的には時間という試練には耐えられず、「初期設定」のまま進めば、未来に待ち受けるのは「死」。市場に大きな変化が起きて、予想もしないようなことが起きるかもしれず、そうしたことに対応できる力がなければ消え去ることになる。

   成功で会社が大きくなり、組織が膨らむと役割が固定化して会社が縦割り化する。対応力は衰え、イノベーションは生まれにくくなる。15年目のザッポスは、それに近い感じだったという。

   シェイCEOは、企業が環境の変化に適応し、変化のスピードにもついていけるようになるには「レジリエンス」が欠かせないと考えていた。レジリエンスは近年しばしば、ビジネスでも使われ、「弾力」や「復元力」「回復力」などの意味がある。「しなやかな強さ」や「柔軟性」という訳語があてはまることもある。

   ザッポスが「初期設定」のままでいては、レジリエンスが失われるばかり。「先手を打つときが来た」と感じたという。その先手は「経営の構造を変えること」。シェイCEOは、トップダウンの経営を取り除き、「会社の土壌にしっかり植え付けた進歩とイノベーションとレジリエンスを、成長させ、繁栄させる」方向へと舵を切った。

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