機械メーカーの株式会社浪速工作所(大阪府堺市)は、缶詰などの製造事業の株式会社カンブライト(京都市)と、小ロット多品種の缶詰製造が可能な、電子制御型の缶詰巻締め機を開発した、と2020年11月11日に発表した。缶詰製造は大量生産が前提とされており、小ロットで生産が可能な機器の開発は世界初という。
新型の缶詰巻締め機は「CANメーカー」と名づけられ、21年4月に厨房システムなどを扱う大阪市のフクシマガリレイ株式会社から発売される予定。
使い勝手よく、高齢者でも操作できる
「CANメーカー」は、100個からの小ロットで缶詰生産が可能。従来の缶詰製造では職人の熟練の技術が必要な缶のサイズの変更も、電子制御により、ボタン一つで切り替えできる。
巻締機は缶詰にフタをして密封する機械。その基本的な構造は100年前から変わっておらず、現代で求められている「多様な缶詰を少しずつ作る」ことができなかった。産地で生じている缶詰食材のロス対策に取り組んでいるカンブライトと、機械製造で定評を持つ浪速工作所がタッグを組むことで、世界初となる「CANメーカー」への道が開けた。
浪速工作所は、ゼロからのモノづくりを得意とする会社で、ヤクルトのパック金型を日本で初めて開発するなど高い技術力を誇る。
「CANメーカー」は、すでに使い勝手のよさが高く評価されており、高齢者、身体障害者でも操作でき、雇用創出にも役立つと、京都府の就労支援施設での導入が決定した。特許申請中。
浪速工作所ではまた、コロナ禍で困難に直面している外食産業が、缶詰事業で新たな市場を開拓できるのではないかとみている。