ファーストクラスの不可解な伝説
以前、「ファーストクラスのお客様はこんな人」「ファーストクラスのお客様はこんなに素晴らしい」という内容の書籍やトピックが話題になったことがありました。セルフブランディングができていて、周囲への心配りが行き届いているという理由です。
筆者の経験上、ファーストクラスは確かに、アッパークラスの乗客が多いことは間違いありません。たとえば、「employee free ticket/EFチケット」(従業員チケット)には、軽装は、「don't recommended」(おすすめしない)と明確に書かれています。ドレスコードがあるわけではありませんが、一流ホテルのそれと比較しても差し支えない雰囲気があります。
また、ファーストクラスが成功者のステータスと主張する人がいます。エコノミーの数倍の運賃を支払う義務が発生しますから、一概に否定するつもりはありません。しかし、座席で属人性が規定されるわけではありません。
有名な話ですが、英国のキャメロン元首相は、公務では既存の航空会社を使い、プライベートではLCCを使用しています。本物のエグゼクティブであれば、ファーストクラスに乗って、これ見よがしに自慢することなどありえない所業なのです。
人が人と接するときに、最も大切な礼儀や礼節。どんな人にも心遣いや敬意、感謝の気持ちを持って接していると周りから応援され、助けられ、認められます。人々の安全を守り、ハイレベルなサービスを提供する航空業界のノウハウは奥が深いようです。(尾藤克之)