世界中が注目した米大統領選。民主党のジョー・バイデン前副大統領の勝利が確実になったものの、現職のトランプ大統領が敗北を認めないという「異例」の事態に陥っています。「事実は小説よりも奇なり」を地で行く想定外の展開に世界中が大混乱。超大国アメリカが国際情勢に与える影響は大きく、「おもしろい見せ物」と傍観している場合ではなさそうです。
そんななか、英フィナンシャル・タイムズ紙が、米大統領選が世界のリーダーに与えた影響を辛口判定しました。タイトルはズバリ、「バイデン氏当選で負けた人は誰?」。さて、我らが菅義偉首相は勝ったのか負けたのか? 判定はいかに......。
「間違った側についてしまった」トホホなリーダーは誰?
それにしても、今回の米大統領選ほど注目を集めた選挙はなかったのではないでしょうか。投票日から数日経った日本時間の11月8日未明、バイデン氏が激戦州ペンシルベニアで勝利して当選を確実にすると、世界中が興奮の渦に!
ようやく新しい大統領の誕生かと思いきや、なんと、現職で共和党のドナルド・トランプ氏が選挙の不正を主張するなど、いまだ敗北を受け入れる様子を見せていません。
ところが、そんなトランプ氏の抵抗もむなしく、バイデン氏には各国首脳から次々と祝福メッセージが届けられて、電話協議が始まるなど、国際的にはすっかり「バイデン次期大統領誕生」モードに。
そんななか、英国の経済紙フィナンシャル・タイムズが、「バイデン氏当選で負けた人は誰?」のタイトルで、各国首脳の立ち位置をバッサリ判定しました。
Joe Biden in the White House: which world leaders stand to lose out?
(ジョー・バイデン氏がホワイトハウスに。敗者側に立っているのはどのリーダー?)
まずは「the loser(敗者)」から。バイデン氏が大統領に選ばれたことで「敗者」と評されたのは、トランプ氏と友好関係を謳歌してきた国のリーダーたちです。イスラエル、サウジアラビア、トルコ、ハンガリー、ブラジル、ロシア、北朝鮮、インド、メキシコといった国々の首脳が名を連ねるなか、同紙が特に「見る目がなかった」と強調したのが自国英国のボリス・ジョンソン首相でした。
名門オックスフォード大学を優秀な成績で卒業した「超優等生」でありながら、型破りの言動で「英国のトランプ」とも呼ばれていたジョンソン首相。トランプ氏との蜜月ぶりを堂々とアピールする姿に眉をひそめる英国民も多かったのですが、EU(欧州連合)離脱やオバマ前大統領への人種差別発言などをめぐり、バイデン氏とはあまりいい関係ではなかったようです。
フィナンシャル・タイムズ紙はジョンソン氏のことを、「on the wrong side of the incoming US president」(新しい米大統領に嫌われている)と断定していました。
希代の秀才とされるジョンソン氏でも、トランプ氏かバイデン氏か、「wrong side」(間違った側)を見極めるのは難しかったということでしょう。昨日の勝者は明日の敗者......。一瞬で状況が変化する国際政治の醍醐味を見せつけられているようです。