GAFA規制が加速すれば日本に大きなチャンス
米ヘリテージ財団のブルース・クリングナー上級研究員は、バイデン氏の支持基盤が「国際協調」路線の足を引っ張っていると指摘する。読売新聞11月10日付「同盟関係の修復急ぐ」の中で、TPP復帰は難しいだろうとまで述べるのだ。
「バイデン氏が副大統領を務めたオバマ政権時代から、世界は大きく変わった。米国内には中国との関係で、党派を超えて厳しく対応すべきだとの強い合意がある。トランプ政権は中国に関し、各国に『中国と米国のどちらの味方か』というアプローチをとった。バイデン政権は、トランプ政権とは異なる手法で中国に対抗するよう、同盟国に求めるだろう。経済面で言えば、TPPは中国封じ込めという意味ではなく、民主主義国家を連携させる上で重要だ。残念だが、民主党を支持する労働者層が自由貿易に反対しており、バイデン政権がTPPに復帰するのは難しいと思う」
ところで、トランプ政権は大統領選挙直前の10月、司法省がグーグルを独占禁止法違反の疑いで提訴した。米国政府が初めてGAFAの規制に大きく舵を切ったわけだが、この動きはバイデン政権になっても続くのだろうか。安井明彦・みずほ総合研究所欧米調査部長は、産経新聞11月10日付「GAFA規制加速の可能性」の中で、この流れは止められないと予測する。
「GAFAなど巨大IT企業への規制強化の流れは今後も続くだろう。ただ実際に(バイデン政権の)米国がどこまで踏み込んだ対応をとるか見通せない。規制強化によってGAFAの提供するサービスの質が低下するようならユーザーの反発を招く恐れがあるほか、急成長する中国IT大手の後塵を拝することになりかねないからだ」
しかし、日本にとって大きなチャンスになりうるとして、こう述べている。
「ただ、ビジネスモデルの見直しを迫るような規制や、GAFAの分割が行われれば、デジタル経済のありかたが根本的に変わる。後れをとる日本にとっては巻き返しの糸口となる可能性も秘めており、ゲームのルールが変わる状況を見極め対応していくことが重要だ」
(福田和郎)