委任状争奪戦から5年 大塚家具「求心力」なき久美子社長はどこでなにを間違えたのか(大関暁夫)

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実父をバッサリ! 冷酷極まりない独裁的やり方

   ならば、社長として自身の経営理論を実践し実績を上げることで、社員に有無を言わせず着いてこさせるしかないわけです。

   ところが、いざ社長のイスに座ってみれば、成功者である父のやり方を机上論で全否定してみせはしたものの、やることなすこと失敗続きの大赤字の連続。社員からは「現場知らずの口だけ社長」に映ったことは間違いなく、求心力が高まるどころか、むしろ社員の心は離れていったのではないかと思うのです。

   2点目。父との確執の末、話し合いではなくプロキシーファイト(委任状争奪戦)で数を争うやり方で白黒決着をつけ、自分が勝利するや父母や兄弟を実質絶縁となる冷酷なやり方で会社から追い出したわけです。

   このやり方が社会一般に与えた悪印象の問題もありますが、社員たちにはどのように映ったことでしょうか。手塩にかけて育ててくれたであろう両親、共に同じ父母の下で育った兄弟との縁を自ら切ってでも自分の考えを突き通す、そんな冷酷極まりない独裁的やり方を目の当たりにして、「社長に着いていきます」と思わせることなど、できるハズがありません。

   むしろ社長に反論すれば、次は自分が切られる。そんな恐怖感が組織には蔓延するはずです。チャンスがあれば、早く辞めたいと思う人が大半を占めていても、何ら不思議ではありません。

   そんな環境下では、業績が伸びるはずもありません。自らのやり方が組織内の求心力を著しく弱めることになると気が付かなかったのは、あまりにお粗末です。

大関暁夫(おおぜき・あけお)
スタジオ02代表。銀行支店長、上場ベンチャー企業役員などを歴任。企業コンサルティングと事業オーナー(複合ランドリービジネス、外食産業“青山カレー工房”“熊谷かれーぱん”)の二足の草鞋で多忙な日々を過ごす。近著に「できる人だけが知っている仕事のコツと法則51」(エレファントブックス)。連載執筆にあたり経営者から若手に至るまで、仕事の悩みを募集中。趣味は70年代洋楽と中央競馬。ブログ「熊谷の社長日記」はBLOGOSにも掲載中。
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