従業員は雇用調整金を「楽しい有給」にしか考えていない
ネット上では怒りと不安の声があふれている。
まず多いのが、
「これはまともに辞めさせられた人の数でしょうから、希望退職や実質無理な辞令で辞めさせられた人はもっと多いでしょうね。10万人を突破しているのでは。身内にも該当者がいますが、『別に残ってもよかったのに、自分から辞めたのだから仕方がないみたい』に言われていて、心外です」
といった声だ。
第一生命経済研究所首席エコノミストの永濱利廣氏は、今後はもっと深刻になるとして、こう指摘した。
「確かに、10月末に公表された9月の労働力調査を見ると、失業者は前月から1万人の増加にとどまっていますが、より重要な『非自発的な離職』に限れば6万人増えていることがわかります。性別の失業者を見ても、これまでの女性の増加から男性の増加にシフトしつつあります。やはり背景には、女性の割合が高い非正規雇用のリストラから、男性の割合が高い正規雇用のリストラにシフトしてきていることが推察されます」
現在、ギリギリでしのいでいる中小零細業者から、悲鳴のような声が相次いでいる。
「ウチは零細企業です。会社は休業にして、従業員には雇用調整金で休んでもらっています。ウチだけが暇ではなく、業界全体が1年中正月レベルの仕事量でした。いま会社が持っているのは、雇用調整金の力が大きいです。これが終われば、倒産かリストラの嵐です。既にリストラを匂わせていますが、従業員は雇用調整金を『楽しい有給』くらいにしか考えていません。雇用調整助成金だって、社会保険料の持ち出しがあるから、ボディーブローのように効いていきます。『今のうちに転職したほうがいい』と言っているのに、『補償のある年内はゆっくり考えます!』。来年はもっと厳しくなるのに、アホか。もう倒産するかも...って、かなり匂わせているのに気づいてよ!」
「中小零細です。雇用調整助成金がなくなったら週休3日制の残業厳禁で給料カットをいつ言うか悩んでいます。社会保険負担が効いてきたので、支払い猶予しました。でも、事業を縮小したら終わってしまうので、雇用調整助成金を貰いながら社員を増員して新しい関連事業を始めました。生き残るには今は社員を駒のように使って選別するしかないです」