激戦が続いていた米大統領選は2020年11月8日、民主党候補のジョー・バイデン前副大統領が勝利宣言した。第46代米国大統領に就任する。ただ、現職のドナルド・トランプ大統領は「選挙はまだ終わっていない」「月曜日から法廷で訴えていく」と、敗北を認めていない。
そうしたなか、米ニューヨーク株式市場のダウ平均株価は好調に推移。これを受けて、東京株式市場の日経平均株価は6日に2万4389円の年初来高値を更新。さらに上値を試す展開が期待される。
株価の足を引っ張るのは、欧州で猛威を振るう新型コロナウイルスの感染再拡大か――。どうなる!? 今週の株式・為替マーケット!
東京株式市場 円高進行に注意!
日経平均株価予想レンジ:2万3500円~2万4600円
2020年11月6日(金) 終値 2万4325円23銭
今週の東京株式市場の日経平均株価は、バブル経済後の最高値をうかがう動きか。
前週の日経平均株価は、米国株の大幅な上昇を受けて、週間ベースで1348円と大幅に上昇した。じつに29年ぶりの高値圏に上昇。米国株は米大統領選が大激戦となるなか、大統領選後の好材料を先取りする形で上昇した。
今週の日経平均株価は、2018年10月2日のバブル経済後の最高値2万4448円をうかがう動きが予想される。ただし、前週の株価上昇スピードが速かっただけに、スピード調整する可能性は高く、上値も重い展開となりそうだ。
米大統領選は日本時間11月8日に民主党のバイデン候補が勝利宣言を行い、一応の決着を見た。ただし、トランプ候補が法廷闘争に踏み切っており、まだひと悶着がありそうだ。
米議会選挙では上院で共和党が多数、下院で民主党が多数となる「ねじれ」が継続する見込みで、バイデン候補が大統領になっても、大型増税や規制強化などの政策遂行には障害があるとの見方が強まっており、大きな変化がないことが相場の安心材料となっている。
気を付けなければならないのは、為替動向。1ドル=103円台に円高が進んでおり、今のところ嫌気材料とはなっていないが、これ以上に円高が進行するようだと、日経平均株価の売り材料になるだろう。
東京外国為替市場 米国の長期金利に先安観
ドル・円予想レンジ:1ドル=1ドル=102円00銭~105円00銭
2020年11月6日(金)終値 1ドル=103円33銭
今週の外国為替市場でドル円相場は、上値が重い展開か。
前週のドル円相場は、ドル売りが優勢となり、一時1ドル=103円台前半までドル安・円高が進行した。米大統領選挙の行方が不透明ななか、FRB(米連邦準備制度理事会)のパウエル議長が会見で、米国の雇用情勢に懸念を示したことや、新型コロナウイルス感染の再拡大に懸念を示したことで、リスク回避のドル売りが優勢となった。
今週のドル円相場は、上値の重い展開となりそうだ。米大統領選は日本時間11月8日、民主党のバイデン候補の勝利宣言で一応の決着を見たが、トランプ候補が法廷闘争に踏み切っており、不透明感が続いている。さらに、米議会選挙で共和党が上院の過半数を獲得すれば、バイデン候補の政策遂行の障害になるとの見方から、政局への懸念も強い。加えて、パウエル議長の発言による追加緩和の期待感から、米長期金利の先安観もあり、ドルの上値は重くなっている。
経済指標は、国内では9日に9月の景気動向指数、10月28、29日開催の日本銀行の金融政策決定会合の主な意見、10日に9月の国際収支、11日に10月の工作機械受注、12日9月機械受注などが予定されている。
海外では、10日に中国の10月の生産者物価指数と消費者物価指数、11日に中国の大型商戦「独身の日」、12日に米国の10月の消費者物価、米国の10月財政収支などが予定されている。
(鷲尾香一)