2020年10月以降、ビットコインが大きく上昇。年初来高値を突破し、144万円台まで上昇しました。2019年の高値は150万円ですので、ほぼ同じところまで上昇しています。
いったい、何が起こっているのでしょうか? 大きく動き出している仮想通貨業界の「今」をお届けします。
キッカケは上場企業によるビットコインの大量購入
ナスダックに上場する企業のマイクロストラテジーが、ビットコイン(BTC)を大量に購入することを検討していると、2020年8月11日に発表しました。
投資運用会社であれば、わかりますが、企業が余剰資金をリスク資産に投じるということは極めて異例です。それも、株式でなくビットコインに投資したことに、業界に激震が走りました。
通常であれば、余剰資金は設備投資に回し、それがなければ配当金を増やしたり、自社株を買ったりするのが当たり前の手段だからです。
驚きが冷めやらぬうち、同社は8月中にビットコインを購入。購入方法は、非常に細かく分けて行い、「~ 0.19BTCを約3秒ごとに購入し、1分間で平均3万9414ドル分のビットコインを購入。74時間に渡り、8万8617回の取引を行なった」とミカエル・セイラ―CEO(最高経営責任者)は説明。9月にも買い増しを行い、9月15日時点で約440億円規模を保有していることがわかっています。
筆者の算出によると、マイクロストラテジーの平均購入価格は116万6000円程度。そのため、144万円までビットコインが上昇した際の含み益は100億円を突破したと思われます。
なお、同社の株価=下グラフ参照=は120ドル台から180ドルを超えるほど、50%も上昇。ビットコインの購入が、投資家や既存の株主から支持されたことが表れています。▼マイクロストラテジーの株価推移
追随する企業が続々
ビットコインの購入が投資家から好感されたことが企業を後押ししたのでしょうか。10月8日には、電子決済・送金サービスを提供するスクエア社が約55億円分のビットコインの購入を発表しました=下チャート図参照。
同社はビットコインの売買アプリを提供していることから、市場はこれを好感。ビットコインは数時間で112万円台から115万円台まで上昇しました。
▼ビットコイン30分足チャート
マイクロストラテジーの余剰資金は500億円以上あるとされています。その大半をビットコインに置き換えたことは、インフレヘッジが理由だそうです。米国のインフレ率は毎年2~3%であるため、何もしない場合、同社の資産は1億円以上棄損する計算になります。
なお、ビットコインの購入は今後も行われる予定があるといいます。また、CEOのミカエル氏は、自身でも1万7700BTC(約247億円)を保有していることを明かしています。
参考リンク:「マイクロストラテジーCEOが1.77万BTCを所有し、会社としてもビットコインをさらに購入」(2020年10月29日付 cryptonews)
電子決済大手のペイパルも参入
10月21日には、電子決済大手であるペイパル(PayPal)が仮想通貨事業に参入することが報じられました。
同社のサービスを利用しているアクティブアカウントは、全世界で3億4600万件もあります。すでに米国のアカウントでは仮想通貨の取引や決済が可能となっており、年明けにはすべてのアカウントが利用可能となるようです。
日本ではあまり馴染みのないペイパルですが、2019年の調査によると、モバイル決済分野では、ペイパルが世界で最も利用されていることがわかっています=下グラフ参照。
参考リンク:「PayPal Pte. Ltd. 海外販売に役立てよう! 越境ECにおける海外モバイルコマース事情」
そして、同社は仮想通貨業界で知名度の高い企業との提携や買収を検討していると報じられており、その期待感からビットコインの上昇に弾みがついたというわけです。
これまで、仮想通貨業界は個人投資家がメインプレイヤーでした。それが、着実に機関投資家などの大口が参入してきています。ツイッターを見ていると、2017年末に流行った「寝ているだけでお金が増える」というつぶやきが、毎日のように散見されます。
もしかしたら、2017年11月のような爆発的な仮想通貨ブームの夜明けが到来しているのかもしれません。(ひろぴー)