パートナーシップの「条件」はイーブン
コトトモには、大切にしている言葉がある。「いい意味で、戦略的に、腹黒く、しんどくなく」と、廣瀬さん。
「当事者の立場やメリット、デメリットをイメージしながら、相手を承認することを意識し、誰も悪者にしないような公正かつ、やさしい表現をする(ポジティブな言葉を選ぶ)ことで、事態がうまく運ぶような気がします」
コストをかけなくても、「ねばならない」と表現しないだけで、人はワクワクしながら動けるもの。「ねばならない」と表現しないだけで、ずっとしんどかった人に笑顔が戻ってくる。たったそれだけで、ワクワクして、活力があふれてくる。さらに、そのパフォーマンスがスゴイ! 言葉一つで変わる、と力説する。
廣瀬さんが子育てに激しく悩んでいた6年ほど前に、あるベテラン保育士さんがかけてくれた言葉に、「子育ては、何年経っていても(やり直そうと思えば)いつでもすぐにやり直しできる」がある。
今も「産後シェア」活動や「サロン交流会」の活動現場で、悩みを打ち明けてくれた人に、この言葉をバトンのように伝えている。
「『育児力』とは、助けてほしい時に、自分から助けてと言えるチカラ。ママさんは助けてほしいときには、ぜひ声をあげてください。そして、しんどくなっているママが支援に頼ることで、この先、自分がどうしていきたいのかを自ら選択し、そこにかかる負荷を少しずつ乗り越えていくチカラにつなげること。これが、私たちのような子育て支援活動をしている者にとって、重要なことだと思っています」
パートナーシップの条件は、すべての属性の人が互いにイーブンであることが前提だ。パートナーシップがうまくいくと、家庭やコミュニティが平和になる。「SDGsの目標16「平和と公正をすべての人に」と目標17「パートナーシップで目標を達成しよう」はリンクしているんですよね」(廣瀬さん)。