「産前産後」「パートナーシップ」がテーマ
ちなみに、団体をはじめてから苦労したことが、もう一つ。メンバー全員が女性だったので、男性がひとりで参加しようというだけで、「授乳がしづらい」「子ども(女の子)に近づいてほしくない」との批判や不満の声が挙がった。
偏った視点や差別的な意見に簡単に流されてしまったり、自分から行動しない立場の人から、行動する人に対して批判的な言動を向けたりする人もいた。
ただ、そのころに読んだ脳科学の書籍で、異質なものを排除しようとする「オキシトシン」という、女性ならではのちょっと面倒くさいホルモンがあるということを知った。
廣瀬さんは、「おかげで、常に俯瞰して人を観察し、お付き合いする人間関係をドライに選び、柔軟に距離感をコントロールすることができるようになりました。それが、リーダーシップと責任を求められる団体運営を、しんどくなく行うことができている、今につながっている気がします」と、振り返る。
現在、メンバーは22人。8人の男性メンバーやシニア世代も積極的に活動へ参加している。SDGsを意識しながら団体活動をしているので、ジェンダーバランス、ジェネレーションバランスが向上しているという手応えを感じている。
こうした運営での苦労が、現在の活動に生きている。コトトモは、2019年度に企業助成金を活用した「産前産後サポーター養成講座」や「マイ資格取得応援活動」の活動で、優秀事業として表彰を受けるなど、実りのある実績を得ることができた。
「産後女性の当事者目線を意識した活動が実施できた手応えを感じられたこと、小牧市内の市民活動団体として、どこよりも先進的にSDGs、男女共同参画を推進してきたという自信が持てた1年でした。)
新型コロナウイルスの影響はしばらく続きそうですが、この活動が持続可能なものとなるために、まだまだ挑戦できる選択肢があると思っています」
と、廣瀬さん。
今後はSDGsをより掘り下げた「パートナーシップ」という視点の啓発に取り組む予定。そして、引き続き「産前産後」というテーマと、さらに地域貢献ができるよう「誰のことも否定しない、どんなことも楽しみながら、しんどくないアクションができる団体」でありたいという。