コロナ禍で社員の帰属意識は薄らいだ? 会社への「ワクワク度」を測ってみたら......(大関暁夫)

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「正」の影響を与える4つの要素

   石山教授は、中小企業はいかにして「会社への誇りと満足」を高めたらよいのかということのヒントになりそうな、「会社への誇りと満足」が企業組織の日常的などのような事柄と関係しているのかについて、重回帰分析により解明された結果にも触れています。

   それによれば主に4つの要素が「会社への誇りと満足」に正の影響を与えているとして、「理念浸透の実現」「助け合いと協力の文化」「成長と多様性の尊重」「心理的安全性」をあげています。

   「理念浸透の実現」は、中小企業では意外にお座なりにされやすいことかもしれません。ただ単に経営理念を壁に掲げるだけではなく、社長自らが自社の理念がどのように実践されるべきであるのか、日々具体性をもって社員に意識づけする必要があるでしょう。

   「助け合いと協力の文化」は、セクショナリズムをなくすことが大前提となります。技術部門と営業部門のいがみ合いなどはよくある話ですが、部門間の相互理解を助長するために、階層別で情報を共有するコミュニケーションの場を設けることが必要でしょう。同時に社長を含めた、上下関係のコミュニケーションの円滑化も重要です。コミュケーションの悪い組織を誇りに思う社員は、少ないはずです。

   「成長と多様性の尊重」は、常に教育の場を設け、社員一人ひとりが毎年成長を実感できる環境をつくってあげることが大切です。日々同じことの繰り返しに陥りがちな中小企業ですが、マンネリは怠惰であるとの意識をもって社長自ら社員成長の機会を作ってあげてほしいところです。多様性はいわゆるダイバーシティです。社員に画一を求めるのではなく、ベテラン、若手、女性それぞれの感性や感覚を尊重した対応を心掛けてほしいものです。

   「心理的安全性」は、まずは倒産の不安がないこと、失業の不安がないこと。前者は決算情報の開示などを通じて、経営の安定感が常に社員に伝わっていること。後者は理不尽に社員を退職に追い込むような、乱暴な労使関係でないということです。そしてもう一つ、職場内でパワハラ等が起こりやすいような、職場内リスクを感じさせないことも重要でしょう。

   コロナ禍であればなおさら、中小企業経営にとって重要なファクターが並んでいるように思います。コロナ対応の組織運営策の策定などの参考にしていただければ幸いです。(大関暁夫)

大関暁夫(おおぜき・あけお)
スタジオ02代表。銀行支店長、上場ベンチャー企業役員などを歴任。企業コンサルティングと事業オーナー(複合ランドリービジネス、外食産業“青山カレー工房”“熊谷かれーぱん”)の二足の草鞋で多忙な日々を過ごす。近著に「できる人だけが知っている仕事のコツと法則51」(エレファントブックス)。連載執筆にあたり経営者から若手に至るまで、仕事の悩みを募集中。趣味は70年代洋楽と中央競馬。ブログ「熊谷の社長日記」はBLOGOSにも掲載中。
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