「正直にやっているのがバカバカしくなっちゃいます」
元特捜部主任検事の前田恒彦氏は、こう投稿した。
「返したからといって詐欺の事実は消えてなくならない。うっかりミスを理由に返還しても、調べてみれば故意の不正受給だったケースも相当あるはず。警察も検察も不正受給には厳しい姿勢で対応している。特に指南役の助言にもとづいて組織的かつ大規模に行われた事案は、たとえ末端の不正受給者であっても、立件されることがあり得ると覚悟しておく必要がある。警察庁長官も『刑事事件として取り上げるべきものがあれば、厳正に対処する』と述べていますし、法務大臣も全国の検察庁の次席検事を集めた会議で『新型コロナ感染拡大に伴い、持続化給付金の不正受給など、国民の不安につけ込む犯罪が発生している』と指摘し、厳正に対処するように指示しているところだ」
ITジャーナリストの高橋暁子さんも、こう指摘した。
「不正内容が悪質な場合は詐欺罪で告発されますし、不正受給がわかった場合のペナルティは厳しいものです。まず、支給額に年3%の延滞金を加えた額に2割を上乗せした金額を返還する必要があります。不正内容の度合いによっては屋号やペンネームなどが公開される可能性もあります。逮捕が相次いでいますので、身に覚えがある人はすぐに返還手続きをとったほうがいいでしょう」
それにしても、あまりに巨額の不正が行われていたことに驚く人が多かった。
「6000件...。多すぎに驚いた。本当に迅速に支給を待っていた人たちがこの不正した人の後になったとしたら簡単に許せるものではないですね。きちんと返還し、そのうえで適切な罰則を与えてほしいです」
「知り合いの中小企業の社長は、友人にヤンキーあがりの個人事業主が多い。その友人たちが『帳簿を操作して給付金を貰ったって、武勇伝のように自慢し、そんなことみんなやっている』と言っていたため、羨ましがっていた。私は『そんなことすれば必ずバレるよ』と忠告したが、その社長は納得していなかった。だが、このような逮捕者が出て、やらなくてよかった、と思ったはず」
「これ、早かれ遅かれ必ずバレますからね。私が働いている社会福祉協議会の緊急小口貸付も虚偽申請者が多数。今、警察と職員総出で1件1件勤務先等の確認作業中だから、年末から来年いっぱいにかけどんどん逮捕があがる。ある日突然、警察が職場や自宅にやってくる。大きな代償を払うことになる」
持続化給付金をもらった人からは、こんな声があがっている。
「6月に受給しましたが、本当に助かりました。不正して受給したらどうなるとかは、ちゃんと明記してある。返せばいいというものじゃない。それなりの処罰を受けるべきです」
「私も自営で4月から売り上げが落ち、5月の自粛でさらに輪をかけ、家賃すら払えなくなり...持続化給付金と都の感染拡大防止協力金が支給され、ホントに助かりました。不正に給付を受けた者はキッチリ裁かれるべき」
最後にもらわなかった人の声を紹介したい。
「自動車販売・整備業です。幸いにも大きな打撃を受ける業種ではないのですが、簡単な申告でもらえる100万円、喉から手が出るほど欲しかったです。売上操作して受給することも可能でしたが、インチキしたり人を騙したりしてまでお金をもらうことはできませんでした。こんなに不正していた人がいたなんて知ると、正直にやっているのがバカバカしくなっちゃいます」
(福田和郎)