きょうは、50代半ばのUさんです。新卒で今の会社に入って、そろそろ役職定年に近づいて来ました。
「自分はこの会社員人生の中で何を成し遂げたのだろうか? という疑問が出てくるんですよね。とは言いつつも、『じゃあ、何を成し遂げたいのか?』と聞かれても、答えることもできなくて、同年代の方はどんなふうに考えているのかな?」
Uさんのような悩みは50代に限らず、いくつになっても尽きない悩みの一つかもしれません。少しずつ考えていきましょう!
「やりたいこと」のヒントは「自分」の中にある!
生きていると3つの立場の自分があるといわれます。一つは社会(会社・ビジネス)における自分、二つ目は家庭の中(生活・家族)の自分、そして自分自身です。
Uさんのように新卒から一つの会社に長年勤めていると、仕事の忙しさに身をまかせ、社会における自分の割合が増えることで、「個」の自分を意識することも少なくなる傾向が高いといえそうです。
さらに、「まったく趣味もない、好きなこともなく、休日はテレビを見るか寝ています」という方は要注意です!
Uさんも、まずは「個」の部分に目を向けてみましょう。趣味がなかったら新しく趣味をつくる。趣味を見つけるために、いくつか興味があることを試してみて、心が動いたもの、楽しいと感じたことを趣味にしてはいかがでしょうか。
「個」の自分の中で「楽しい」と感じたことの中に、「これを形にしたい」「これを極めたい」と思える「何か」が隠れているかもしれません。
「まだ成し遂げていない」という言葉の中には、「何かわからないけど、やりたいことがある」「うまく言葉にまとめることができないけど、やりたいことがある」――。Uさんも、こんな思いを少なからず持っているのではないでしょうか。
これは私の母親の例ですが、私の母親が50代の頃に「何かやりたいんだけどね」と言っていました。料理が好きだった母に「じゃあ、古民家カフェとかやったら」と話していたことを覚えています。そして60代後半で、子どもだけでなく大人も集まる地域の食堂のスペースを作ったんですよね。母はただ飲食店をやりたかったのではなく、人が集まる場所を作りたかったんですね。
「何かやりたい → 料理が好きなので飲食店かな? → でもカフェではない気がする → みんなが集まる場所を作りたい → そこで料理も出そう」
ざっくり過ぎますが、こんな流れです。
これまでの人生は「宝もの」です
今は、やりたいことが何かわからないけど、何となく「こんなことかな?」って、思っていることがある方は、言葉にしていきましょう。言葉にすると、やりたいと思っていたことがやっぱり違うと思えてきたり、方向性が変わってしまったりすることもあると思いますが、それでいいのだと思います。今すぐに答えは見つからなくても、ヒントが見つかると思います。
それでも「やっぱり、自分には何もないな」そんなふうに考える方もいるかもしれません。そのように思った方は、これまで社会人になってから現在までのことを思い浮かべてみてください。良い出来事だけでなく、悪い出来事もです。
たとえば、
・ノルマが厳しかった → 同期が辞めていくなか、よく耐えた。
・成績を上げていたが地方転勤になった → 理不尽なことに対して、忍耐力がついた。すごく落ち込んだが、転勤先で出会った人と結婚した。
・業績が落ち込んで降格した → 上司と部下に恵まれてモチベーションを保つことができた。
その出来事だけでなく、そこから感じた思い、迷い、学んだこと、身についたことは誰でもあるかと思います。その体験は一人一人違うので、自分だけの宝です。自分にとってはたいしたことではないと感じたことも、他の人にとったら貴重なことかもしれません。
まずは、自分の体験から宝(自分が大切にしているもの)を見つけ出してみましょう。そうすることで「成し遂げたい何か」が抽出しやすくなるはずです。
ちなみに、アンパンマンの作者のやなせたかしさんは、漫画家になったのは34歳、そしてアンパンマンで人気が出て売れっ子になったのは50代後半だそうです。Uさん、今、成し遂げていなくても、焦らずに遅咲きの人生に向けて目を向けてみてはいかがでしょう。
まずはお休みの日はいつもと違うことをやってみてくださいね。(ひろ子ママ)