11月2日は「世界ビタミンDデー」。北米では、11月から3月の日照不足がビタミンDの欠乏をもたらすことから、11月にビタミンDの摂取を促すための啓発デーが設けられた。
日本も同様に、日照不足に伴うビタミンDの欠乏が懸念されるが、今年は特に新型コロナウイルスの感染拡大に伴う外出自粛の影響で、日光に浴びずに過ごすことが多かった。
こうしたことから、日本のビタミンDブームの火付け役で、米国の薬剤師が20年以上にわたって推奨する(注)ナンバー1サプリメント「ネイチャーメイド」を製造、販売する大塚製薬の現地法人、ファーマバイト社が、ビタミンDが生成できない懸念があると警鐘を鳴らしている。
「ビタミンD」は日本人に不足ぎみな栄養素
ビタミンDは、水に溶けにくいビタミンのひとつ。人体へは食事からの摂取だけでなく、日光の下で、皮膚で産生することができるという特徴を持っている。
強い骨の形成と維持に必要なカルシウムとリンの体内吸収を促進して丈夫な骨を作る働きがあり、ビタミンDが欠乏すると、骨に悪影響を及ぼすリスクが高まる。また近年の研究では、ビタミンDが日々の健康リスク管理に重要な働きをしていることが明らかになっているそうだ。
そんなビタミンDの摂取量だが、日本人は不足ぎみらしい。厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2015年版)」によると、18歳以上の男女では、一日5.5マイクログラムの摂取が必要との指針が示されている。
また、「日本骨粗鬆(しょう)症学会」による骨粗しょう症の予防と治療ガイドラインの推奨摂取量は一日10~20マイクログラム。さらに、国際骨粗鬆症財団(IOF)の推奨では一日20マイクログラムで、これらが一日に必要なビタミンDの摂取量の目安となっている。
ところが、日本人のビタミンDの摂取の現状は、20歳以上の摂取量(平均)は1日7.8マイクログラム(男性が1日8.2マイクログラム、女性が7.5マイクログラム。2016年度国民健康・栄養調査)で、国内外の指標と比べて、日本人の摂取量は不足しているとみられる。このような実実情もあり、「日本人の食事摂取基準(2020年版)」では、目安量が5.5マイクログラムから8.5マイクログラムに引き上げられた。
国内でビタミンDを補うことができるサプリメントの「ネイチャーメイド」を製造、販売する大塚製薬のニュートラシューティカルズ事業部・ネイチャーメイド担当の菊田信哉氏は、「世界ビタミンDデー」をきっかけに、ビタミンDの大切さを知ってほしいと話している。
「ビタミンDは日本人の全世代で不足、あるいは欠乏している可能性がある栄養素のため、今年はビタミンDの摂取目安量が引き上げられています。健康意識が高まる今、ビタミンDの重要性を理解し、意識して摂っていただきたいと思います」
(注)2020 U.S. News & World Report - Pharmacy Times Survey
好調な米サプリメント市場
サプリメント大国の米国では、じつは今、サプリメント市場が好況に湧いている。米栄養業界でレポートなどを発表する「Nutrition Business Journal」によると、2020年に免疫に関与する成分を含有するサプリメントの売上高が52億ドル(約5500億円)に達するとの予想を発表。コロナ禍のなか、前年に比べて51.2%もの成長で、これは今年の米国サプリメントの総売上高の約10%を、このサプリメントが占めることを示しているという。
「ネイチャーメイド」を開発、製造する米ファーマバイト社の品質責任者、マーティン・デニソン氏は、
「今年(2020年)注目された成分としてマルチビタミン、ビタミンC、ビタミンD、亜鉛といった、日々の体調管理には必要不可欠な基礎栄養が挙げられます。なかでもビタミンDは世界中で注目されている栄養素の一つ。ビタミンDは食事やサプリメントでの摂取や日光を浴びることで、体内で合成されます。しかし、今年は外出自粛の生活が長引いているため、日光を浴びる機会が減少し、ビタミンD不足が一層懸念される状況となっています」
と、説明。コロナ禍にあって、日々知らず知らずのうちにビタミンDの不足に陥り、それが体調不良を引き起こしている可能性があると指摘する。
大塚製薬の菊田氏は、
「体調管理にビタミンDは重要な働きを担っていますが、食事からビタミンDだけ摂取すれば良い生活が送れるということではありません。健康な生活には栄養、運動、睡眠が重要な要素ですが、栄養については、日々の食生活で必須栄養素であるビタミンやミネラルをバランス良く摂取することが大切です。食事からバランスよく栄養を摂取できない場合は、サプリメントを賢く活用頂ければと思います」
と話す。
厳しい品質基準をクリア 日本には1993年に「上陸」
ネイチャーメイドが、日本に「上陸」したのは1993年。当時は高価格な医薬品ビタミンが主流だったが、「初めて生活者が手軽に摂れる価格帯の高品質ビタミンとして発売しました。米国の製品をそのまま持ってくるのではなく、当社と大塚製薬によって、栄養素の処方や日本人の栄養所要量に合わせて設計している点も、発売当初から現在まで受け継がれています」と、米ファーマバイト社のデニソン氏は話す。
デニソン氏によると、
「ネイチャーメイドは、薬剤師であった創設者の祖母や一般の患者の方々が栄養バランスがとれていないことを見て、生命活動に必要なビタミンやミネラルという基礎栄養素に焦点を当てることで、人々の健康を改善することを目指しました」
という。
発売してから約50年に至る今日でも、米国のcGMPといわれる厳しい品質基準をクリアした工場で製造し、さらに「ファーマバイトGMP」という独自の基準も設けて全工程での点検や検査、完成品の最終段階での検品を徹底。「サイエンスに裏打ちされた高品質のサプリメントを提供することで、生活者、医療専門家、小売業者の信頼を得ています」と胸を張る。