ニチバン協力のもと社会実験を実施 食品ロスは減るか!?
―― 家庭でできる食品ロス削減について、推進員のみなさん同士で話す機会はあるのでしょうか。また、実践していることがあれば教えてください。
田村さん「食品ロス削減について、推進員のみなさんとは定期的に実施する勉強会で話し合ったり、私が登壇する講演会や講習会でお伝えしたりしています。いくつかのポイントがあると思っています。まずは、余った食材の有効活用について。アイデアを出し合ってアレンジ料理を考えたほか、食材をムダにしない使い切り料理の講習会を開催したこともあります。たとえば、煮しめが余ったら、カレーライスの具にアレンジする。ヒジキが残ったら、酢を入れてちらし寿司にしよう、などです(『おいしいふくい食べきり運動』の公式サイトでも、食べきりレシピを公開中)」
―― ふだんの買い物で気を付けることは?
田村さん「衝動買いの防止策として、お腹がすいているときは買い物を控えよう。飴をひとつ、ほお張ってから行こうなどとお話ししました。ほかにも、冷蔵庫の中身の確認を呼びかけています。買い込んでしまいがちな人は、冷蔵庫の中にあるものを書き出して、管理しておくといいですね。福井県では祖父母が農作物をつくっていることも多いので、実家の畑で取れそうな野菜を買うのを控えたいところ。買うにしても、使う分だけにする」
崎田さん「おっしゃるように、冷蔵庫の管理は大事です。関連する話として、環境省が2020(令和2)年3月に発表した報告書によると、2017(平成29)年度の食品廃棄物(いわゆる、生ごみ)に占める『食品ロス量』は34.9%と推計されています。内訳を見ると、(1)買い過ぎや消費期限・賞味期限切れなどによる『直接廃棄』が12.5%。(2)野菜の皮のむき過ぎといった、まだ食べられるところも取り除いてしまう『過剰除去』が8.3%。(3)作ったけれど、結局食べなかった料理等も含む『食べ残し』が14.1%でした。冷蔵庫の管理によって(1)はもちろん、(3)の場面でも適切に冷凍保存して食べきれれば、食品ロスや食品廃棄物を減らせると考えています」
ニチバンの「ワザアリテープ」。複数のカラーバリエーションがあるのも便利。かわいらしい柄付きも人気だ。
―― いま食品ロス量の話が出ましたが、福井県と婦人会では近く、粘着テープメーカーのニチバンの協力のもと、食品ロスに関する社会実験を行うようですが、どんな内容になるでしょうか。
杉下さん「今年(2020年)12月と年明け(2021年)後の1月にかけて、ニチバンの『ワザアリテープ』を使ったモニター調査を行います。『ワザアリテープ』を使う場合とそうでない場合とで、それぞれ一週間ずつ、モニターとなる各家庭から出る、作ったけれど食べきれずに捨ててしまった食品(食品ロス)の量は変わるか、計量して調べたいと思っています。参加者の感想や意見もぜひうかがいたいです」
田村さん「婦人会を通じて参加者を募集していますが、おそらく世帯構成にそれほどの偏りはなく、最終的には50~60世帯が協力してくれると思います。これを機に、私や推進員のメンバーも『ワザアリテープ』を使ってみましたが、なかなかのすぐれモノですね」
―― 実際に使ってみていかがでしたか?
田村さん「『ワザアリテープ』は何色かあるので、その色を生かしたらどうか、とみんなと話しました。たとえば、肉類なら赤、野菜類は緑にして使い分ける。または、先に入れておいたものと、後から追加したものとで、テープの色を変えてもいいな、と。各家庭でルールを決めて、使いやすいようにすればいいですね」
杉下さん「保存が効く冷凍食品などに限りますが、開封した日を忘れがちですよね。そういうとき、封止めしたあと、テープの上に油性ペンで開封日を書いておけば便利だなと思います」
田村さん「そうそう。貼って剥がせるのがいいところなので、メモを書いておいて、重ね貼りや並べ貼りをしてもいいですね。多少、水に濡れても問題なさそうですから、そのあたりも心強い。こんなふうに、使いこなし方を研究するのも楽しそうです(笑)」