2人の人物の会話で構成
本書は、2人の人物の会話で構成。一人は「給料が上がらず何か副業を始めようとしているが、会社を辞めてフリーランスになるのがまだ怖い」という「野口くん」。もう一人は、野口くんの先輩のフリーランスで、コンサルティング会社社長の「渋沢さん」。渋沢さんは公認会計士や税理士の資格を持っている。
フリーランスというと、楽器の演奏者やライターなど個人事業主を指すことが一般的だったが、いまでは個人事業主というくくりから、従業員1人以下の中小企業の社長らも「フリーランス」と呼ばれる。
起業のプロローグ部も、フリーランスと重なる。
本書では野口くんの給料が上がらないことから、副業をステップにフリーランスへと展開していくが、サラリーマンからフリーランスへの転身を考える際に最大の問題は「稼ぎ」だ。
給与所得者の平均年収とほぼ同額の440万円を例として、渋沢さんがフリーランスで同額を稼ぐことをテーマに話しをする。
会社に勤務して年収440万円の場合、会社がその従業員にために支出している金額はそれにとどまらない。社会保険料の会社負担分(給料の約15%=約60万円)などがあり、少なくとも約500万円となる。退職金や家賃補助などの福利厚生があれば、その分も加えることになる。
フリーランスになれば、500万円に加えて諸経費を稼がねばならない。事務所や店舗の家賃、電話料金、水道代に交通......。小売業なら仕入れ資金やスタッフの給料などの運転用の金も必要だ。
開業時には賃貸物件に付随する敷金や礼金がいるし、設備のための資金もいる。内装の工事にも金がかかるだろう。