コロナ禍の「異常事態」!「鬼滅の刃」大ヒットになぜか世界のメディアが大興奮?(井津川倫子)

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コロナを「無視」できる日本人?

   「Demon Slayer」の大ヒットに沸き立つ海外メディアですが、米通信社のブルームバーグは、日本の人口の3%にあたる人が「わざわざリスクを冒して」映画を見た、と報じました。

Almost 3% of Japan's entire population -- put the risk of virus infection aside to turn up for the opening weekend of "Demon Slayer"
(日本全体の人口の約3%にあたる人が、「Demon Slayer」の公開週末のためにコロナウイルス感染リスクを無視した)
put aside:脇に置く、無視する
turn up for:~に現れる

   なるほど、340万人と数字を伝えられるより、「人口の3%」の方がインパクトあります。ブルームバーグの報道で注目したいのは、「the risk of virus infection」(コロナ感染のリスク)を「put aside」(無視した)と強調していることです。

   じつは、このニュースが報じられた日に、世界のコロナウイルス感染者数が4000万人を突破したというニュースが世界中を駆け巡りました。第2波に襲われているスペインでは、累計の感染者数が100万人に達する兆しだというニュースや、米カリフォルニアのディズニーランドは再開の見込みが立たないといったニュースがあふれる中で、日本の映画館に人々が押し寄せたというニュースは、唯一の「明るい話題」だったのでしょう。

   新型コロナウイルスによるパンデミックの影響で、世界の映画業界は大打撃を受けています。映画館を開けても、感染リスクを懸念して客足が戻らないといった状況に、ハリウッドの大手スタジオは新作映画の公開延期を次々と発表。この秋最大の目玉だった「007」シリーズ最新作「007 ノー・タイム・トゥ・ダイ」も来年まで再延期されるなど、危機的な状態に直面していると報じられています。

   ニューヨーク・タイムズ紙が、このまま映画館に客足が戻らないと「ダイエットコークを片手にポップコーンをほおばる映画鑑賞文化が廃れる!」と感傷的に報じていたほどですから、「Demon Slayer」のヒットぶりは、映画業界を救う「救世主」なのでしょう。

   何よりも、感染リスクを「put aside」(無視して)映画館に足を運べる日本の映画ファンのことがうらやましく思えたのかもしれません。

   それでは、「今週のニュースな英語」は、米ブルームバーグ通信社の記事から「put aside」(無視する、脇に置く)を取り上げます。

   「いったん脇に置く」ことから「貯金する」という意味で使います。

I put aside 20,000 yen every month
(私は毎月2万円を貯金している)

   「仕事をいったん忘れる」という使い方もできます。

Put your work aside
(仕事のことは忘れてください)

   さらに「しばらく」という言葉を加えてみましょう。

Put your work aside for a while
(しばらく、仕事のことは忘れてください)

   新型コロナウイルスの影響に苦しむ人々にとって、明るい希望となった「Demon Slayer」の大ヒット。現実の世界でもやっかいなウイルスを、こてんぱんに「Slay」(退治)してくれる「救世主」の出現が待たれています。(井津川倫子)

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井津川倫子(いつかわりんこ)
津田塾大学卒。日本企業に勤める現役サラリーウーマン。TOEIC(R)L&Rの最高スコア975点。海外駐在員として赴任したロンドンでは、イギリス式の英語学習法を体験。モットーは、「いくつになっても英語は上達できる」。英国BBC放送などの海外メディアから「使える英語」を拾うのが得意。教科書では学べないリアルな英語のおもしろさを伝えている。
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