吉永小百合「いつでも夢を」大竹しのぶ「あゝ野麦峠」は感染症映画だった! コロナの今だから映画で励まされたい(2)

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「いつでも夢を」に残る結核患者への差別

「いつでも夢を」(AmazonDVDより)
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   同じく感染症(結核)対策を描いた青春映画に、吉永小百合主演の『いつでも夢を』(1963年)がある。ここでは、結核対策がさらに進んで、患者の隔離が実施される姿が描かれる。具体的には、結核病床が整備されたほか、空気がきれいな地域に「サナトリウム」という療養所が置かれたのだ。

   舞台は高度成長期の東京の下町。定時制高校に通う三原ひかる(吉永小百合)、木村勝利(浜田光夫)、 松本秋子(松原智恵子)の青春物語を取り上げている。療養所は後半に登場する。秋子が結核で高校中退を余儀なくされ、ひかるが秋子を見舞うため、「武蔵野療養所」を訪ねる。その時、ひかるに秋子はこう語るのだった。

「この病棟だと、随分と軽症なほうなのよ。喀血してもね、病棟が新しいから、回復率が早いんですって。このまま順調に行けば、1年ぐらいで帰れるだろうって、先生がおっしゃったわ」

   三原岳さんは、こう指摘する。

「ここのシーンのポイントは『病棟』『1年ぐらいで帰れる』という部分です。この時点で結核の特効薬が開発され、結核で亡くなる人が少なくなっていた半面、結核患者を受け入れる病床(病棟)の整備が問題となっていました。さらに、『1年ぐらいで帰れる』というシーンでは、社会復帰支援が課題になっていたことが表れています」

   まだまだ、結核患者に対する、長年の恐怖からくる偏見が残っていたのだ。偏見と差別といえば、三原さんは最後にこう強調した。

「現在、新型コロナウイルスの陽性者に対する差別の問題が起きていますが、『感染列島』でも同じ問題が取り上げられています。当初、鳥インフルエンザが感染源として疑われたため、たまたま鳥インフルを発生させた養鶏場の経営者(光石研)の家に石が投げられたり、娘が学校でいじめられたりしたあげく、経営者が首を吊って自殺する場面があるのです。映画のようなシーンが現実に起こっていることが非常に残念です。ぜひ映画も見て、差別のことを考えてほしいと思います」

(福田和郎)

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