この「大事件」を日本メディアはなぜか完全無視
ただ、この朝鮮日報の報道にはいくつか疑問点が浮かぶ。まず、韓国紙が日本の政界の動きを「独自取材」でスクープするということが非常に珍しいということ。ほとんどの場合、「日本の〇〇新聞によると」という引用の形で報道する。これは、日本メディアが米国の政界の動きをスクープすることが稀で、「米CNNによると」「ニューヨークタイムスによると」という引用の形で報道するケースが多いのと同じだ。
次に不思議なのは、10月20日現在、この「荒唐無稽な」自民党の動きを後追いで報道する日本のメディアが見当たらないことだ。もし自民党の外交部会で「韓国大使館とサムスン電子支社に対する差し押さえ案」が論議されたとすれば、日本の記者たちのアンテナにキャッチされるはずだ。
3つ目は、韓国でもこの報道に対する反応が鈍く、後追いをしたのは中央日報くらいのものだったこと。10月19日付の「自民党『韓国内の日本資産が現金化されればサムスン日本支社差し押さえ』指示」という記事で、「朝鮮日報が東京発記事で伝えた」とそのまま引用する形で短く報道した。
むしろ、韓国メディアの関心は、10月18日に訪韓した日韓議連の河村建夫幹事長の動静と、堰を切ったように靖国神社を2度も参拝して「退任後、右翼性向を露わにした安倍前首相」(ハンギョレ新聞)のニュースに集まった。