きょうは、50代のUさんです。盛り上がっているようですが、なんだか「昔は昔は......」という言葉が飛び交っていますね。
「テレビはやっぱり昭和のほうがおもしろかったよな」
「昔は社内のスポーツ大会とかもあって、それぞれの部署にも一体感があったよぁ」
「飲みにも行けたし、コロナの前がやっぱり良かったよぁ」......
Uさん、典型的な「昔は良かったなぁ、おじさん」になっています。かなりマズイですよ。
脳の30%を占める「前頭前野」が衰えると......
脳科学者の中野信子さんの本を読んだのですが、「昔は良かったなぁ」という言葉が頻繁に出てきたら、前頭前野が老化しているサインだそうです。
前頭前野とは、脳30%を占め、「考える・記憶する・感情をコントロールする・判断する」などの人間が人間らしくあるために必要な部分。つまり、前頭前野が衰えると、新しいものや自分と違うものが受け入れにくくなるのです。
人はやはり歳を重ねていくにつれ、心が動きにくく、目の前のことに感動が生まれにくくなるとも言われますが、そのまま放っておくと、過去のことにしか興味がわかなくなってしまうのです。
大人よりも子どもたちが笑ったり、騒いだりしているのも、初めての体験、感動が多いからなんですね。「昔は良かったなぁ、おじさん」が生まれるのは、年齢を重ねる中で、仕方がないと言えば仕方がないことですが、そのままでは言い訳にしかなりません。
Uさん! このままでは、脳は老化に向かっていきますよ。
「昔は良かったなぁ」って、今を生きている人にも失礼だと思うんですよね。たとえば、「昭和は楽しかったなぁ」となると、平成や令和生まれの人に対して、「平成よりも令和よりも昭和が良かった」と言っていることになるので、言われた側はいい迷惑でしかないですよ。
「昔は ?が良かったから今の時代でも、こういうことができるように工夫したいね」という発展的な内容ですと話は違いますが、それ以外は「だから何?......」と、未来に役立つこともありませんよね。言われるほうも呆れてきます。
生まれてきた時代はそれぞれで、目の前に広がっている現実が共通のできごとなので。どちらかが、どちらかの世代に興味を持つ以外、話は広がりません。今、この令和の時代に目を向けた方が色んな年代間で話はできそうですね。スマホから流れる音楽よりもレコードから聞こえる音楽のほうが、風情があるとしても、時代の変化に切り替えることも必要です。