「カスタマー(顧客)ハラスメント」(カスハラ)をご存じだろうか。暴言や土下座の強要など、お客からの悪質なクレームや理不尽な迷惑行為をいう。
新型コロナウイルスの感染拡大によるストレスの増加で、「カスハラ」の被害を受けるサービス業や小売業の従業員が増えているため、厚生労働省は「カスハラの対応マニュアル」の策定に乗り出した。 ネット上では、
「対策が遅すぎる」
「クレーマー規制法を作って厳しく取り締まるべきだ」
などの怒りの声が上がっている。
「日本では接客業は人権が皆無」
最近、わかりやすい暴言・暴力タイプよりもタチが悪い、ネチネチからむタイプが増えてきたようだ。
「自分で店を経営し、現場にも立っています。皆さん、悪質なクレーマーは出禁にしろ! 警察に突き出せ!と言いますが、概ね賛成です。しかし、怒鳴り散らすとか分かりやすいヤツは警察呼ぶので簡単だが、タチが悪いのがネチネチ難癖つけてくるヤツ。ホリエモンの餃子店の件じゃないけど、なんだかんだ絡んでくるわけ。こっちが先に怒鳴るわけにもいかないし。モンスタークレーマーってホントにモンスターなんですよ。で、前もめたヤツは事実をねじ曲げて、全部店側が悪いみたいなことをGoogleのクチコミに捨てアカで投稿した。厚労省がマニュアルを作るなら、こういう輩の対策や抑止方法も教えてほしい」
「飲食店を経営していますが、今はこちらが毅然とした対応をとると、SNSで真偽不明の悪評を立てられますからね。法的手段を取るには気力・労力・金力がかかり過ぎるから、先日の餃子店のように泣き寝入りするしかない。正直、店内にビデオ録画の装置をつけて、防衛するしかないのかなと思っています」
「私がいるメーカーでは顧客からの問い合わせ窓口があり、毎日数千件の電話が入りますが、中にはカスハラ的な顧客もいます。その人たちの決まり文句は、『SNSで拡散する』と『国民生活センターに通報する』といったものです。国民生活センターは話せばだいたい理解していただけますが、SNSでは悪評を抑えることは難しく、本当に困ります。厚労省のこうした取り組みで社会的に多くの人が問題の大きさを知る機会になるとよいと思います」
「簡単に言いがかりで訴訟を起こす事例も散見されます。クレーマーは裁判所に(提訴)を棄却されてもいい前提で、金が取れればラッキーくらいな感覚かもしれもせん。弁護士費用は判決まで、原告が原告分、被告が被告分を負担しますから、原告本人(クレーマー)が訴訟してきた場合、被告(店側)が弁護士を頼むと金銭的に重いです。不当だと思っても、クレーマーに支払って終わらせる事例が後を立たない理由です。日本では接客業は人権が皆無なのです」
かつては「民事行為」のストーカーも法で規制できるように
こうしたことから、厚労省や警察庁に「クレーマー規制法」の制定を要望する声が多かった。
「悪質はクレーム警察に通報しても警察も民事不介入というスタンスまだ強く、なかなか相手にしてくれません。法的根拠がないと難しい。20年前にストーカー規制法を作ったように、『クレーマー規制法』のような法律を新しく作るか、既存の法律を厳しく解釈して対応できる線引きを早く示して欲しいです」
「『クレーマー規制法』は大賛成です。ストーカー行為もかつては夫婦間、恋人間の民事行為だからと、警察は不介入の立場だったはずです。それが、法律ができることによって、ストーカー行為の被害にさらされる人を救うことにつながりました」
「クレーマーは物的被害がない限り、通報したところで民事なので警察は本気で動かない。ここはもう暴力団対策と同じように、『ネットでいいふらす』『ユーチューブの動画を流す』とか、クレーム現場の撮影行為をしていた場合は『ストーカー規制法』の『つきまとい行為』に該当するというように、『クレーマー規制法』の『クレーム行為』とみなすというふうにしたらよいと思うが...」
ただし、「クレーマー規制法」に関しては、かんぽ生命保険や日本郵便などの悪質商法に対する正当なクレームを抑圧することにならないか、という指摘もあった。
最後にこんな声を紹介したい。
「米国に住んで5年になります。最初は米国と日本の接客との違いに驚きました。高級ホテルとスーパーの接客が全然違うのは当然で、接客料金(チップ)を支払っていない以上、スーパーに接客の質を要求するほうがおかしいという考え方です。スーパーではお客は『買わせていただく』という感じで、代金の計算が正しければ、お客はそれ以上のことを期待するものではありません。下手をすると、店員と乱闘になります」
(福田和郎)