自民党勉強会でコロナ対策を提案
フェルドマン教授は自民党本部で開かれる国会議員の勉強会に講師に呼ばれることも。2020年4月の会では新型コロナウイルスの問題を取り上げ、緊急事態宣言や外出制限、所得補助政策など5つを提案した。政府に採用されたわけではないが「参考にしてもらえたかもしれない」。
本書では、自らの提案を踏まえて政府の政策について達成度の評価をのべている。それによると、は、「導入が遅れ期間が短かった」として、達成度は「C」。国民の心構えのためには長く設定する必要があったとし、感染が早く収束した場合には解除する体制にしておけばよかったという。
所得補助政策で、フェルドマン教授は「終身雇用ではない勤労者を中心に」と提案。「生活に余裕がない人ほど打撃が大きいので、迅速な補助が必要。マイナンバー制度を利用する手もあるはず」と提案の理由を述べたが、結果的には「社会的弱者に向けた政策は少なく、処理のスピードも遅く、マイナンバー制度も準備不足」とバッサリ。こちらも達成度は4段階評価で「C」の評価。落第ではないが、ギリギリだ。フェルドマン教授は一方で、個人の印象と断りながら、日本人の衛生観念や公共心が極め高いことが、感染拡大を抑えた一因ではないかと指摘。そうした国民性が寄与して日本での感染拡大は比較的抑えられる可能性があり、コロナの封じ込めは景気回復を早める見込みがある。
本書で引用されている米モルガン・スタンレーの正式予測(2020年7月4日現在)では、日本のGDP(国内総生産)がコロナ危機以前に戻るのは2021年末とされる。
「フェルドマン教授の未来型日本経済最新講義」
ロバート・フェルドマン著
文藝春秋
税別1400円