みなさん、こんにちは。馬医金満です。
ホームセンター業界第2位のDCMホールディングス(HD)は2020年10月2日、業界7位の島忠を完全子会社化すると発表しました。買収額は最大1636億円。1株あたり4200円で、島忠に対してTOB(株式公開買い付け)を実施します。ホームセンター業界の大型M&A(企業の合併・買収)案件を見てみました。
ホームセンター業界は食うか食われるか!
現状、ホームセンター業界は全体的には微増ですが、中長期的には他業界との競争が厳しくなってくることが予想されます。
コロナ禍の「巣ごもり需要」で、既存店の売上高が増えていますが、市場規模は20年前から4兆円前後で、ほぼ横バイのまま推移しています。その一方で、ホームセンターの店舗数は増え続けており、店舗あたりの売り上げは下がってきている状態です。
その中で、各ホームセンターは生き残りをかけた経営改善に力を注いでいます。その手段としてM&Aが用いられているわけです。 たとえば、ホームセンター業界第3位の、「ホームセンター コーナン」のコーナン商事は2019年にプロ用建材資材卸の「建デポ」を、建材・住宅設備機器大手のLIXILから約240億円で買収。20年2月には関東を地盤とするホームセンターで老舗DIYの「ドイト」をドン・キホーテの親会社パン・パシフィック・インターナショナルホールディングスから約68億円で事業買収しています。
一方、今年6月には業界11位のアークランドサカモトが、6位で「ビバホーム」を運営するLIXILビバを約1100億円で買収すると発表。7月21日にTOB(公開買い付け)が完了しています。
これらの買収は、プライベートブランドの強化につながる見通しとしています。
大手がより多くのシェアを握る構図
DCMHDによる島忠の完全子会社化も、M&Aで規模拡大を図るホームセンター業界の流れの一つと言えそうです。
DCMHDの売上高は2020年2月期で4373億円。島忠は1535億円(20年8月期)。単純合算で、売上高は5908億円となり、カインズ(非上場)の4410億円(20年2月期)を大きく引き離して業界のトップに立つことになります。
そもそも、DCMHDは2006年に北海道のホーマック(札幌市)、中部地方のカーマ(刈谷市)、四国のダイキ(松山市)の中堅3社が経営統合したのが発足のきっかけです。その後も、2015年にサンワドー(現サンワ=青森市)や16年のくろがねや(甲府市)を完全子会社化するなどM&A路線で規模を拡大してきました。
一方、島忠は1893年、桐ダンスの産地である埼玉県春日部市で「島村箪笥製造所」を創業したのが発祥です。1960年以降に家具小売りに、さらに78年にホームセンター事業に進出しました。店舗は、東京や埼玉、神奈川の都市部にほぼ集中しています。
ホームセンターは大規模な店舗を擁するので、都市部ではその土地を用意するには多額の費用がかかります。メディアの報道によると、今回のM&Aについて島忠の岡野恭明社長は「都市部が商圏の島忠と、地方が中心のDCMとは地域的な補完関係を高めることができる」と強調していましたが、DCMHDにとっては首都圏で自前で出店していくよりも、島忠を傘下に収めるほうがコストを抑えられると判断したようです。
ホームセンター業界は地域色が強い業態ということもあり、今までは大手チェーンから地場企業まで、多くがひしめき合う状況が続いてきました。しかし、店舗が過剰な状態で各ホームセンターの競争が激しくなれば、大手企業がより多くのシェアを握るという構図が加速していき、さらなる淘汰・再編は避けられないと考えます。
では、また!(馬医金満)