いまや世間は「GO TO トラベル」一色だが、自力でコロナ禍を勝ち抜いたホテルが登場した。
2万冊のマンガが読めるホテルや「星の里」を売りモノにしたホテルは激減したお客が急回復。宿泊客が殺到している。
「泊まる場所」から「過ごす場所」へ、宿泊者数1.5倍増
名古屋市の東隣、愛知県東郷町に2020年7月15日にオープンした「マンガホテル東郷」。運営している有限会社T・Kコンサルタント(名古屋市)は、このホテルの9月の宿泊者数が、前月の1.5倍に増えたことを明らかにした。10月8日の発表。
このホテルは、その名前のとおり、2万冊ものマンガが読めるホテルとして開設。コロナ禍のなか、恐るおそるの船出だったが「2万冊ものマンガが読めるホテルとしては東海地方初のホテルのため、遠方からのお客様にも宿泊いただいた」という。
新型コロナウイルスの感染拡大で自粛生活が続き、外に出ても気軽に遊びに行ける場所も減った。そうした状況のなか、ビジネスホテルを運営するT・Kコンサルタントでは、「泊まる場所」から「過ごす場所」としてのホテルを計画し、マンガホテルを実現させたという。
コロナ禍でホテルが、軽症の感染者の隔離施設として使われたことで「安全な空間」と認識されたことも計画を促進させた。
「星空の街」のホテル、9月稼働率88.9%に回復
北海道中部の芦別市は「星の降る里」をキャッチフレーズに、星のきらめきが美しい夜空を最大の観光資源の一つにしている。同市の芦別温泉スターライトホテルも星空観賞会を組み、年々集客が高まっていたが、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で一気に客足が止まってしまった。
しかし、それまでに広まっていた星空の認知度で回復のスピードが早かったという。
このホテルを運営する北海道ホテル&リゾート株式会社(北海道富良野市)によると、ホテルの稼働率は8月が81.3%、9月は88.9%に回復した。10月9日の発表。
芦別市は1984年12月に「星の降る里」を宣言。88年には環境庁(当時)から「星空の街」に認定された。芦別温泉スターライトホテルは「満天の星空を堪能する」をホテルのコンセプトとして、2017年7月からスターウオッチング会をスタート。新型コロナウイルスによる感染拡大前は、ほぼ毎日開催し、1日30~50人が参加する人気で、多いときには70人にのぼるほどだった。
コロナ禍の営業では、従業員のマスク着用や健康管理を徹底。施設内の消毒・洗浄などを徹底していることの周知を図り、星空のアトラクション効果が後押しとなって賑わいが戻ってきたとしている。