新型コロナウイルスの感染拡大は、依然として予断を許さない状況が続いているものの、世界各国で経済活動の再開が進んでいます。主要国・地域の景気の先行指数は改善傾向にあり、世界景気についても4~6月期に底を打ち、回復基調になるとの期待が広がっています。
主要国・地域の株価指数も2020年3月下旬以降は上昇に転じており、「コロナ・ショック」によってヒヤリとしたものの、足もとでやっと、ひと息つくことができた状況ではないでしょうか。
そうしたなか、コロナ禍を経て、投資信託に起こっている興味深い事象について紹介します。
多くの投資家が投資信託を使って資金を海外株式へ振り向けた
下の図1は、上場投資信託(ETF)を除く、公募投信の残高を資産別に表したものです。2020年8月末時点で最も比率の高い資産は海外株式となっており、全資産に占める比率は33.4%です。2019年12月末時点が28.5%でしたから、足もとでは5ポイント近く比率が高まっています。
下の図2は、2020年(1月~8月末)の資金純流入額の累計を資産別に表したものです。海外株式には累計1兆6,209億円が純流入しており、公募投信全体への純流入額の9割超を占めています。
図1、2により、コロナ禍を経て、投資信託を通じて多くの投資家が海外株式へ資金を振り向けたことがわかります。投資の世界では、ホームバイアス(投資先を決める際に自国の資産を選好してしまうこと)がかかりやすいといわれています。にもかかわらず、国内株式を大きく上回る資金が海外株式に流入していることは、興味深い事象です。