フードテックの将来性に期待 新興コンサルのシグマクシスを買う(一橋大学)【企業分析バトル 第5戦】

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   今回選んだのは、企業分析バトルの第3戦で購入を見送った東証1部上場の「シグマクシス」(6088)だ。

   シグマクシスとは、企業のデジタル・トランスフォーメーション(DX)の促進を支援する戦略系のコンサルティング企業であり、AI(人工知能)などのデジタル技術を活用したサービス、組織・人材の活性化サービスなどを提供している。

   第3戦では、デジタル・コンサルティング市場の規模拡大への期待と、2020年3月期の好決算を理由にシグマクシスを取り上げた。しかし、主要顧客であり、新型コロナウイルスの影響を受けている日本航空(JAL)の決算発表が7月末に控えていること、また8月初旬にはシグマクシスの2021年度3月期第1四半期の決算発表が控えていることから、購入を見送っていた。

   では、なぜ再びシグマクシスを取り上げ、購入することにしたのか。8月3日に発表された2021年度3月期第1四半期決算と、2021年3月期の連結業績予想を紹介しながら、説明してきたい。

  • ERPのクラウド化とフードテックに期待(写真はイメージ)
    ERPのクラウド化とフードテックに期待(写真はイメージ)
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高水準のプロジェクト満足度や積極的な採用を評価

   ここで、シグマクシス株の購入に踏み切った理由をまとめると、以下のようになる。

・第1四半期決算は減収減益だったが、評価できる点もあった。
・8月の自己株式の取
得の影響もあり、株価は回復基調にある。
・ERP(Enterprise Resources Planning=企業資源計画)クラウド化サービスは需要拡大傾向にある。
・フードテックのリーディング企業としての将来性に期待。

   まず、8月3日に発表された2021年度3月期第1四半期の決算をみると、売上高は前年同期比12%減の33億6000万円、四半期純利益は同46%減の8000万円である。減収の主な要因は、新型コロナウイルスの感染症拡大の影響を大きく受けている航空業界向けコンサルティングサービスの減少。減益に大きく関与しているのは、前年同期比9%増となった販売費及び一般管理費(販管費)である。

   しかし、それぞれの中身を見ると、評価できる点がいくつかあることがわかる。キー・パフォーマンス・インデックス(KPI)において、アンケート形式で調査する100点満点のプロジェクト満足度(NSI)は94点であり、95点だった前年同期と2019年度の通算値に比べても、未だ高水準を保っているといえる。また、クライアント数は前年同期比10%増となっている。

   続いて、販管費の主な増加要因をみると、「新型コロナウイルス感染症対策関連経費、採用に伴う人件費等関連経費の増加、ソリューション開発及び生産性向上のための投資」となっており、一時的また今後の成長のための投資であることがわかる。

   特に注目すべきは採用であり、第1四半期には61人(前年同四半期比25人増)が入社している。これは、将来の成長に対する積極的な姿勢とみなすことができる。従業員一人当たりの売上高、営業利益が2018年から右肩上がりであることは、その判断を根拠づけるもののうちの一つだろう。

   2021年3月期の連結業績予想は、売上高が9%減~3%減、当期純利益が25%減~8%増となっており、第1四半期の決算状況が今後も続くわけではないと予想している。

   次に株価を見ていきたい。先に紹介した8月3日の決算発表を受けて、3日に1608円だった株価は、一日で1251円にまで下落した。しかし、8月12日から31日まで行われた自己株式取得の影響もあってか、現在は1681円と決算発表前の水準を取り戻している。

   新型コロナウイルス感染拡大の影響が少しずつではあるが収まりつつあるため、企業の将来性に期待できれば、ここで買ってよいと考える。

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