うまくいけば大きく稼げる「運用」手段の「誤解」【投資の基本を知る その1】(小田切尚登)

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「複利」の破壊力!

   月々コンスタントに5万円を追加して運用するとしよう。それを仮に25歳から55歳まで30年間続けたとする。その間は決まったパーセンテージで、複利で増えていくとすると、30年後にはいくらになっているであろうか? (注:30年間同じ金額を毎月足していくので、平均の運用期間はその半分の15年となる)

   まず、利息がゼロ%の場合はどうか。今、預金金利は限りなくゼロに近いので、その状態で銀行に30年間預けたというような話だが、そうすると次の計算式により、1800万円となる。

5万円 × 12か月 × 30年 = 1800万円

   では、利息が複利でついていったらどうなるか? これは結構複雑な計算となるが、エクセルにFV関数という便利な機能があり、それを使うと一発で計算される。答えは以下のとおり(100円未満は切り捨て)。

   ◆ 毎月5万円ずつ資金を出して30年間複利で運用していったらどうなるか――。

   どうだろうか。年利1%だと1800万円が2100万円弱になるということで、30年間の結果としては、たいした増加率ではないと思われるかもしれない。しかし複利で年3%増え続けた場合だと、2900万円以上になる。つぎ込んだ資金1800万円に対して1100万円以上増えるということだ。

   年5%増えた場合はもっとすごくて、元本が2.3倍以上になり、金利分だけで2300万円以上の儲けとなる。ひと月5万円をつぎ込むことで4178万円。すなわち家が買えるくらいのお金ができてしまうということだ。1%や2%の違いで長期的に如何に大きな差となるかがわかるだろう。

   凄まじいのは年10%の複利で増やした場合である。年利1割で30年間増やし続けるのは現実的には困難だし、今のように低金利の時代にそういうことが可能であると想像することも難しいところかもしれない。

   しかし、仮にこれが実現できたとするとつぎ込んだ資金の6.3倍になる。金額的には1億1396万円、すなわち1億円の大台を超える。55歳で1億円の資産があれば御の字だろう。そして、それに要したお金(元手)はたったの1800万円なのである。

小田切 尚登(おだぎり・なおと)
小田切 尚登(おだぎり・なおと)
経済アナリスト
東京大学法学部卒業。バンク・オブ・アメリカ、BNPパリバなど大手外資系金融機関4社で勤務した後に独立。現在、明治大学大学院兼任講師(担当は金融論とコミュニケーション)。ハーン銀行(モンゴル)独立取締役。経済誌に定期的に寄稿するほか、CNBCやBloombergTVなどの海外メディアへの出演も多数。音楽スペースのシンフォニー・サロン(門前仲町)を主宰し、ピアニストとしても活躍する。1957年生まれ。
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