経産省は予約サイトの優遇しか考えていなかった
東京新聞は、この問題を熱心に追及し続けている。10月6日付では1面トップで「GoToイート 予約サイト優遇鮮明 経産省当初『ポイント』に予算9割」という見出しのスクープ記事を掲載した。
「『GoToイート』で政府が店に負担のない『プレミアム付き食事券』事業より、予約サイトへの手数料を必要とする『ポイント付与』事業を重視していたことが分かった。現状では1534億円の予算を両事業に等しく配分しているが、今年4月の政策決定時には、経済産業省が9割をポイント付与に振り分けようとしていたことが判明。予約サイト優遇の構図が鮮明となった」
としている。いったいどういうことか――。
「ポイント付与事業は、税金を使う事業なのに法人経営の大規模店に比べ、個人経営の飲食店は競争上、不利になりやすい構造だ。イートを当初主導していたのは経産省。だが、実態のない団体への委託などが批判された持続化給付金問題をきっかけに批判が集中。『GoToキャンペーン』予算は経産省が一手に配分する体制から『トラベル』は国土交通省、『イベント』と『商店街』は経産省と、各省への事業分割を迫られる事態になった」
そして、「イート』を直接担当するのは農林水産省となり、食事券とポイント付与の配分をそれぞれ767億円ずつの「5対5」に見直したのだ。農水省の担当者は東京新聞の取材に対し、
「飲食業界に対するヒアリングで、食事券への要望が出た。経産省はもともと、飲食店支援ではポイント付与だけしか検討していなかった」
と見直し理由を説明。一方、予約サイトの優遇しか考えていなかった経産省広報室は、
「農水省の事業なのでコメントは控える」
と述べるにとどまった。東京新聞は、記事をこう結んでいる。
「キャンペーン4事業を巡っては、『官邸の意向を受け経産省がスピード最優先で取りまとめたため、政策として生煮えだ』(財務省幹部)との指摘が政府内にもある。イートより先に始まったトラベルでも、高級宿に利用客が集中。ビジネスホテルや民宿などに支援が行き渡りにくい公平性の問題が生じている」