コロナ禍で困っている飲食店を助けるために2020年10月1日から始まったはずの「GoToイート」キャンペーンが、「飲食店を泣かせている!」と批判を受けている。
本当に困窮している中小零細飲食店を救済せず、余裕のある大型飲食店しか恩恵を受けない仕組みになっているというのだ。
それだけではない。SNS上では、「GoToイート」の抜け道を使ったトンデモ「錬金術」の手口が拡散している。いったいどういうことか。主要メディアの報道とネットの声を拾うと――。
手数料と登録料、飲食予約サイトだけが二重取りで儲かる
「GoToイート」キャンペーンでは、消費者は次の「2つのお得」を選べることになっている。
(1)地域で使えるプレミアム食事券の発行。購入した額の25%を国が負担する。例えば、1万円で購入すれば1万2500円分が使える。
(2)オンライン予約によるポイントの付与だ。政府が委託した「ぐるなび」「食べログ」など13のオンライン飲食予約サイトを経由して予約・来店すると、1人あたりランチ時間帯は500円分の、ディナー時間帯(15時以降)は1000円分のポイントが付与される。
このうち、特に問題になっているのが(2)の予約サイトだ。飲食店が予約サイトに登録するためには手数料を支払わなくてならないサイトが多く、そうでなくてもコロナ禍によって経営が苦しい中小零細の飲食店にとって、かなりの負担になっているからだ。
東京新聞(10月2日付)「『GoToイート』登録で重い手数料負担 参加見送りの飲食店も」が、飲食店の窮状をこう伝える。
「『GoToイート』が10月1日から始まったが、ポイントの付与について、参加を見送る飲食店が出ている。ポイントは予約サイトを通じて店を予約した消費者にしか付与されず、店側が同サイトに登録するには重い手数料負担が生じるためだ。農林水産省が委託した予約サイトのうち『ぐるなび』『食べログ』など10の大手サイトは店から手数料を徴収する。手数料は予約客1人につき昼食で50~100円、夕食は200円程度が多い」
飲食業界関係者は東京新聞記者に、こう漏らすのだった。
「飲食業は薄利で、利益率が1割もあれば優良店だ。客単価が3000円とすれば利益が300円あれば御の字。100円、200円の手数料負担は大きい」
しかも、今回の事業はコロナで苦しむ飲食店救済が目的だ。予約サイトを利するような制度設計に、野党議員からは、
「予約サイトは国から61億円もの委託費をもらっているのに、飲食店からも手数料を取るのは問題ではないか」
という批判があがる。東京都中央区の日本料理店経営者は、
「薄利多売なので参加すれば手数料負担を価格に転嫁せざるを得ない」
と参加を見送った。これに対して、ぐるなびの広報担当者は東京新聞の取材に対し、
「(店からの)手数料は農水省の仕様書に沿って決めており、通常のサービス提供に必要で以前からいただいている。(国からの委託費は)特設サイトづくりなど事業に必要な費用に充てるためで、二重取りではない」
と述べた。農水省の担当者も、
「予約サイトを経由したほうが、ポイントを早く付与できる。手数料を認めなければ大手サイトが参加を見送ると考えた」
と説明したのだった。