居酒屋業、「壊滅的な状況が続いている」
ワタミのみならず、居酒屋チェーンはどこもコロナ禍で大きなダメージを受けている。
外食産業の市場動向調査を毎月実施している一般社団法人日本フードサービス協会の「外食産業市場動向調査」によると、外食産業の中でも「居酒屋・パブ」の業態は、緊急事態宣言の発出中に出された自治体からの休業要請によって売り上げの落ち込みが激しく、その後の回復も鈍い。
4月に前年同月比で91%マイナスだった売上高は、宣言解除後の7月に前年同月比53%マイナスの水準まで、かろうじて「改善」。だが、7月以降の「第2波」による営業時間の短縮要請と会食の場でのクラスター発生の影響によって、再び来客数が減り、8月の売上高は前年同月比で59%マイナスと、「壊滅的な状況が続いている」。
中でも、都市部の繁華街の居酒屋に悪影響が出ているようだ。
「大手企業を中心に、社員同士などの飲み会を自粛するよう指示が出ているところが多いです。テレビで感染者が増えた、と報じられるたびに、予約のキャンセルが相次いでいます。秋に入っても、相変わらず厳しいですね」(東京・新橋の居酒屋店主)
倒産も増えている。帝国データバンクの調べによると、焼き鳥店などを含む「居酒屋」の倒産件数は2020年1~8月に130件に達した。8月時点で累計100件を超えたのは2000年以降で初めてで、このままのペースで推移すれば、2020年の居酒屋の倒産件数は過去20年の最多を更新することがほぼ確実になったという。
「周囲の飲食店の中でも客足の戻りがいいのは、焼き肉店やステーキ店、エスニック料理店など、お客さんが『これを食べに行きたい』という目的を持てる業態が多いですね。居酒屋のように『何でもあり』だと、今後は厳しいです」(東京・渋谷の居酒屋を7月に閉店した経営者)