悪質業者の見積もりは260万円だが、保険会社の鑑定は14万円
【事例3】事業者の見積もりが杜撰ずさんで、保険会社の額と差がありすぎた
事業者から電話があり、「台風や大雪被害で破損している箇所は火災保険で修繕できる。当社で保険申請のサポートをする」と勧誘され、無料修理できるならと来訪を受けた。家をくまなく診断され、屋根、雨どい、外壁、外溝など合計約260万円の見積書が完成した。事業者の指示に従い保険金の申請をしたら、保険会社から調査が入った。保険会社の提示額は14万円と、あまりにも見積もりとかけ離れていた。保険会社に「見積額には経年劣化の部分が多く、信用性にかける」と言われた。事業者を信用できなくなり工事を断ると、診断費用を請求すると強く言われた。支払い義務はあるのか。(2020年7月、60歳代女性)
【事例4】保険で修理可能と言われたのに保険金が下りなかった
家を建築した事業者から無料点検の知らせが届き、点検を依頼した。「屋根、雨どいなどに台風被害があるので、火災保険で修理できる」と勧誘された。保険金が確実に下りることが分かってから決めたいと言ったが、「キャンペーンの有効期限がある」と3時間にわたり居座られ、判断力も低下して約300万円の契約をしてしまった。しかし、保険会社から老朽化による修理に該当するので保険金は下りないと言われた。どうしたらよいか。(2020年7月、50歳代女性)
【事例5】保険金で修理工事ができると契約したが、工事が杜撰ずさんだった
台風で雨どいや雨戸等が破損した。火災保険を使って自己負担なしで修理を行うという事業者が来訪し、「お宅の状態ならば保険がおりる」と言われ、事業者に申請手続きを頼んだ。後日、保険会社から130万円の保険金が下りると連絡があったので、事業者に報告すると、130万円の工事見積書を持って来た。足場だけで50万円も計上されて高額だと思ったが、保険金の範囲内ですべての修理が済むならと工事を依頼した。しかし、足場を組む際に張るネットを省略、雨戸は新品でなく廃材を利用して適当なものを作られた。こんな杜撰な工事に130万円も払うのは納得できない。(2020年6月、70 歳代男性)
このように、災害で損傷したようにウソの細工をしたり、保険金がおりないとわかると、診断費用や工事キャンセル料、そして保険金請求費用を要求したり、さらに工事をしても杜撰な作業だったり......と、悪らつ極まりなのが特徴なのだ。
国民生活センターでは、こうアドバイスしている。
「『保険金を使って自己負担なく住宅修理ができる』と勧誘されても、絶対にすぐに契約しないようにしましょう。本当に保険金が支払われるかは分かりませし、特に、保険金請求サポートや工事キャンセル時の手数料等の説明をされていないというトラブルが多く発生しています。契約前に必ず契約書を確認し、手数料等の有無や支払条件をよく確認しましょう。そして、何よりも契約前に加入先の保険会社や保険代理店に相談することが大切です」
(福田和郎)