きょうは管理職のCさんからのご相談です。ちょっと浮かない表情ですが、どうしたんでしょう。
「認めたくないことなんですが、最近、怒りっぽくなって。私が20代の頃に『あんな上司になりたくない』と思っていた上司に似てきた気がするんですよ。先日も、部下が話している声がたまたま聞こえてしまったんですが、『最近Cさんすぐキレるよな。ストレスが相当たまっているんじゃない? あまり近づかないほうがいいな』って、自分でも自覚があるので、まずいなって思っています」
ガマンがコップから溢れ出す前に
「ああはなりたくない上司」......。ふと気づいた時に、自分が似てきていると気づいた時はショックですよね。でも、大丈夫です。今、気づいたのですから、これから修正することはできますよ。
ここ数年で「キレる中年」や「ぶつかりおじさん」(駅などでわざとぶつかってくるおじさんのこと)という言葉を耳にする機会が増えました。
数年前、私も新宿駅で「ぶつかりおじさん」に遭遇したことがあります。すごい勢いでまっすぐ向かって来て......。避けましたが肩に当たりました。その時は「わざわざ、わざとぶつかってくる人なんていないだろう」と、そんなに気にはしていませんでしたが、ネットで「ぶつかりおじさん」の存在を知りました。
日本の男性って相当ストレスを抱えているんだなと、何だか虚しい気持ちになったことを覚えています。
生きていると誰もが怒りや不安、ストレスを抱えてながら過ごしています。そして、ガマンできない、自分で処理ができない状態になると爆発するのです。それらはたいてい、自分より弱い人に向けられます。見た目から反撃して来なさそうな女性や男性がターゲットとされるのですね。
まずは、Cさん。最近のお仕事のストレスや怒りの原因が何かを探ってみてください。何かガマンしていることがあるはずです。ガマンがコップから溢れ出す前に、原因を探しましょう。
「〜べき」という考えを捨ててみては?
「キレる中年」や「ぶつかりおじさん」。フレーズだけでは、悪いのは男性だと断定的になってしまいますが、原因はそれだけではないと思います。
・男性が女性におごるべきだ
・男性は弱みや悩みを打ち明けるべきではない
・家事は女性がやるべきだ
・男性は家庭のためにしっかり稼ぐべきだ
終身雇用、年功序列、男性社会と昭和の時代ではこんなことが一般的でしたが、昭和、平成、令和と時代は変わって来ています。このように時代は変わりつつも、一部では依然として「男らしさ」が求められ、男性は追い詰められているような状態です。
「キレる中年」や「ぶつかりおじさん」は、ガマンにガマンが溜まって、爆発した状態だと言えそうです(そうでない方も紛れていると思いますが)。
現在はいろんな時代の価値観が混ざっているため、どれが正解という答えがない状態です。「〜べき」と考えるのではなく、
「こんな考え方もあるんだ」
「そういう捉え方もあるのね」
と一たん、受け入れてみましょう。ガマンの原因はこのような価値観の違いを押し付けてしまうことにある場合もあります。
怒りを感じたら、10秒数える!
たとえば、先日の「ポテサラ」論争です。ここでは「女性はポテトサラダを手作りすべきだ」という趣旨だったと思いますが、決して「〜べき」はすべての人に当てはまることではありません。
怒りを感じた時は、深呼吸して気持ちを落ち着けましょう。
「間違っていることは指摘すべき」。これも正しいのですが、Cさん、その場で怒鳴らず、一たん心を落ち着けましょう。すぐに戦わないことも大切です。
● 相手に間違いを指摘するためには、どういう言い方をしたら伝わりやすいのか。
● もしかしたら、何か原因があるのかも?
深呼吸して、こんなふうに考えてみるにもいいでしょう。怒りを感じたら、10秒数えることにすると言っていた方もいました。
今回、Cさんも初めて悩みをお話しされたということでしたが、ガマンの限界がくる前に、誰かに話をすることをオススメします。不安、愚痴を漏らしてもいい人がまわりにいるだけで、気持ちはラクになるものですよ。
Cさん、ぜひまた来てくださいね。報告を待っています。(ひろ子ママ)