秋を迎えた欧州では、新型コロナウイルスの感染拡大の波が再び押し寄せてきています。
ドイツでは2020年9月に入ってから、新規感染者数が2000人を超える日もあり、4月以来となる高い水準を記録。隣国のフランスやスペインでは1万人規模で感染が拡大しており、専門家らは新たな予兆に警鐘を鳴らしています。
来るべき冬に向けて、ドイツは感染拡大を防ぎ、新たなロックダウンを回避できるのでしょうか――。
キャッチーな合言葉で感染予防を啓発
先日、トラムで移動していたとき、停留所のポスターがふと目に入ってきました。「AHA」という大きな文字にポップなカラーリング。いったい何だろう? と思っていたら、また次の停留所にも同じポスターがあります。よく見てみると、文字の下にはマスクや手、人物のイラストも描かれています。
じつはこれ、ドイツ連邦保健省の感染予防対策ポスターで、AHAは基本となる3つの対策を表した合言葉なのです。
「A」はAbstand(1.5メートルの間隔保持)
「H」はHygiene(手洗いなどの衛生対策)
「A」はAlltagsmaske(マスクの着用)
AHAの順序に並べると、同じつづりの「aha」(ドイツ語で「なるほど」、「ほらね」という意味の感嘆詞)を想起させ、耳馴染みがいい言葉になります。また、ポップなデザインで、一見すると対策ポスターに見えません。
3月末にロックダウンが解除されてから半年以上が経ち、街を歩く人の表情に当時ほどの緊張感はありません。多くの人が新しい生活様式に慣れた状態での、再度の感染拡大の兆し。対策がおろそかにならないよう周知徹底させる目的で、このようなポスターを掲示しているのでしょう。私も、気を引き締めないと、と改めて感じさせられました。