大きな歴史の流れの中で、芸能を見つめる
ところが、手塚さん自身は舞台や演芸を観る趣味はないそうだ。あくまで古書店主として、本という歴史的な資料を人の手から人の手へ渡す、お手伝いをしているのだ。
新型コロナウイルスがエンターテイメント業界に及ぼす影響は大きく、歌舞伎座や寄席なども長い休演期間を強いられた。手塚さんは、こう話す。
「災害や戦争など、芸能はこれまで様々な困難を乗り越えて、今日に至っている。このコロナ騒動も、長い目で見ればきっと大丈夫だと信じています」
古書が紡ぐ大きな歴史の流れの中で芸能を見つめる、手塚さんならではの大らかでどっしりとした視点に思えた。
「お客さんの要望に応えられるよう尽くすのが、神保町の書店の仕事ですからね」と、さらりと話す手塚さんの姿に、「本のプロ」の頼もしさが感じられた。