エコノミスト「隠れ失業者の顕在化が心配だ」
こうした調査結果に対して、ネット上ではまずエコノミストのこんな投稿が相次いでいる。
経営コラムニストの横山信弘氏は、こう投稿した。
「財務的に脆弱な企業は、非常に苦しいだろう。直接的な影響がない企業も連鎖倒産がありうる。今こそ松下幸之助氏が唱えた『ダム式経営』(編集部注:事業が好調な時にはダムに水を貯めるように資金を十分にストックしておく。不況になったらダムの門を少しずつあけて水を供給するように蓄えた資金で乗り切っていく)を見習い、財務的な余裕が持てるよう、利益が出やすい経営体質にしていかなければならない。どの企業に対しても言えることだ」
エコノミストで経済評論家の門倉貴史氏は、「隠れ失業者の顕在化」を心配する。
「コロナ破たんの増加に伴い懸念されるのが失業者の増加だ。コロナ禍で企業業績が大幅に悪化しているのに、7月の完全失業率は2.9%と低い水準にとどまっている。これは雇用調整助成金(企業が従業員を解雇せずに休業扱いにすると政府から支給される補助金)の拡充によるところが大きい。7月の休業者数は全国で220万人にのぼり、失業者数の197万人を上回る。この休業者数は潜在的な失業者ととらえられる。企業業績の回復がさらに遅れれば、倒産・破産が増えることになり、この時点で休業者が失業者として顕在化する。政府が雇用対策を中心とした第三次補正予算を組まないと年度内に追加的な失業者が(リーマンショック時を上回る)100万人を超える可能性がある」
第一生命経済研究所首席エコノミストの永濱利廣氏も危機感を募らせる。
「少なくとも東京商工リサーチの(過去の)倒産件数で見れば、9月というのは2月、4月に次いで1年間で3番目に少なくなる季節性があります。逆に、10月は3月、7月に次いで1年間で3番目に倒産件数が多くなる季節性がありますから、来月(10月)はさらに破たん件数が増える可能性があるでしょう」
こうしたことから、これから「地獄」がくるのではと心配する人が多かった。
「もし、本当の地獄が来るとすれば年明け早々だと思う。雇用調整助成金の特例措置が今年12月で切れる。それまでにある程度めどが立つといいが、ない場合、再度延長することがあるのだろうか? 従業員1人当たり1日最大1万5000円の助成金は20日働いたとして30万円。中小企業にとってどれだけの助けになっているか。これがなくなったら失業者が一気に増えるはずだ」