オフィスビルや高級賃貸マンション開発で知られる日鉄興和不動産は、日米に拠点を置くベンチャーキャピタル(VC)のDNXベンチャーズと、スタートアップ向けのインキュベーションオフィス事業に乗り出した。
東京・品川駅東側の複合施設の高層ビル「品川インターシティ」に、専用のコンテンツや設備を持つインキュベーションオフィス「SPROUND(スプラウンド)」を、2020年9月28日に開業。日鉄興和不動産の今泉泰彦社長とDNXベンチャーズの日本代表、倉林陽さん、ノーテルの日本代表、藤澤正太郎さんが、オンライン記者会見で発表した。
設計や内装は、米国で企業の要望に合わせたオフィス環境を実現する「フレキシブルワークスペース」を提供するビジネスを開拓する、ユニコーン企業(評価額10億ドル以上の非上場、設立10年以内のベンチャー企業)のKnotel(ノーテル)が担当。スタートアップの場合、成長フェーズなどに応じてオフィスの広さや設備をめぐり必要なスペースや機能が変化する。スプラウンドでは、そうしたハード面の悩みを解決するソリューションを備えた。
品川インターシティ22階、シードB2B招致
日鉄興和不動産の今泉泰彦社長によると、「SPROUND」の名称は、英語の「sprout(新芽)」と「round(循環)」を合わせた造語で、スタートアップ企業の「成長」と「知の還流」を表現したという。
同社が1998年に竣工した品川駅港南口に直結する品川インターシティ A 棟22階(東京都港区) に設けたスプラウンドは、広さ約1400平方メートル規模で東側は臨海副都心、西側は新宿の高層ビル街が見渡せる。収容人数は最大300人程度で、1社5~6人として50~60社の入居を見込んでいる。
入居は、DNXベンチャーズが投資の対象にしている、成長フェーズの最も初期である「シード」に属す「B2B」のスタートアップ企業であることが条件。DNXベンチャーズは、スプラウンドを「ディールソーシング」と呼ばれる投資先を見つける機能を託す場にする計画。
スプラウンド事業に先立ち、日鉄興和不動産はDNXベンチャーズのファンドに投資。DNXベンチャーズは、オフィスを大手町からスプラウンドに移転してインキュベーションオフィス事業への取り組みに本腰を入れている。
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