大好きな大学生活とのお別れを約1年半後に控えた2019年の秋ごろに、わたしは「就活」を意識しはじめた。
「就活生になったんだ!」という意識はあまりなかったけど、いろんな会社の1dayインターンシップや説明会に、なんとなく参加しているうちに、俗に言う「シュウカツセイ」に、ぬるっとなっていた。今回は、そんなわたしの「シュウカツ観」についてのお話。就活生はそれぞれに持っているはずだが、あくまで、いち就活生の「シュウカツ観」として聞いてほしい。
「就活」を食わず嫌いしていた
わたしは、自分自身が「就活生」になるまで「シュウカツ」に対して良いイメージを持っていなかった。
「勉強するために大学に入ったのに、なぜその時間を割いてまで「シュウカツ」しないといけないの?」
「大学卒業まで全力疾走して、それから自分の未来を選ぶのではダメなの?」
授業にサークル活動、家族や友だちと過ごす日常やアルバイト、海外も見てみたい!......。人は「モラトリアム」というかもしれないけれど、大学生には大学生の時間にやること、やりたいことでいっぱいで、そう思うと在学中から動き始めなければならない「就活」というシステムにあまりにも納得できなくて。何より、もっと自由に自分の未来を切り拓いていきたくて。できることなら「就活」なんて、まだまだしたくないと思っていた。
けれども、現在の「日本」という枠組みの中で生きることを現実的に考えたとき、この「就活」システムの流れに乗らなければ、人生がハードモードになることもわかっていた。生きていくためにはお金が必要だし、お金を得るためには働かなければならない。
新卒一括採用が前提とされている日本社会で、既卒者の就活がむずかしくなりがちなのも、(とても問題があると思うけれど)理解していた。
そして何より問題だったのは、それまでのわたしは実際に「就活」をしたことがなかったという事実である。言い換えれば、食わず嫌いで「就活したくない!」「イヤだ!」とわめいていたワケである。
それではあまりにもカッコ悪い。ふと、そんなふうに思い直して、とりあえず「就活」に片足を突っ込んでみようと思ったのが、わたしの就活生ライフのはじまりである。
就活の目的は「オンリーワン」の会社に出会うこと
そんな気持ちではじめた就活だったからこそ、わたしはまったく気負わない「就活生」になっていた。
会社に「選ばれる」ために、優秀でいい子な就活生になろうと背伸びするようなことは絶対にしない、と心に決めていた。ヘンに取り繕わず、わたしがわたしのままで生きる場所を探すのが就活である、というスタンスは就活を終えた今でも変わらない。
だからこそ、わたしは生意気で可愛げのない就活生であることに徹した。別に意識的にそういう就活生になるつもりはなかったのだけれど、会社側から見たら結果的にそう見えていたのではないかなと思う。でも、何を隠そう、それこそが等身大のわたしである。
自分のやりたいことや譲れないことはきちんと主張するし、態度や服装でも自分の思いを表現する。それでお断りされたとしたって、それはただ単に自分に合っていない会社だったというだけなので、あまりへこたれなかった。やりきるだけやりきっているので、クヨクヨする時間も短くなるのだ。精神衛生的にも吉。
たとえ、一生懸命に自分を取り繕って会社に選ばれたって、結局つらくなるのは自分である。だったら、初めから自分をさらけ出して、それを受け止めてくれる会社を選ぶのがハッピーなんじゃないかな、とわたしは思うのである。
就活の目的は、たくさんの内定を手にしたり、有名な大企業から選ばれたりすることではなくて、自分にぴったりなオンリーワンの会社に出会うことにあると思う。もちろん、考え方は人それぞれだし、わたしの「シュウカツ観」に共感してくれる人も、そうではない人もいると思う。
けれど、雨が降ろうがコロナが来ようが変わらなかった、わたしの「シュウカツ観」のように、しっかりと自分の大切にしたいものを貫き続けることは、納得感のある就活にするための正攻法なのではないかと思う。(叶多凛)