「デジタル敗戦国」「デジタル後進国」を認めた加藤官房長官
さて、冒頭の中央日報(9月22日付)は、こうした経緯を説明したうえで、菅首相の「デジタル庁新設」の狙いをこう述べる。
「これが、菅首相が就任直後に最も代表的な政策として『デジタル庁』新設を掲げた背景だ。韓国の情報通信部新設から約25年遅れるが、加藤勝信官房長官は9月20日、NHKの番組で、『デジタル敗戦国・デジタル後進国と言われるなか、他国と比較すれば、国民が本来享受できる利便性を享受できておらず、しっかり進めていく』と話した」
4連休初日の9月19日、平井卓也デジタル改革担当大臣の号令のもと、初のデジタル庁創設に向けた検討会が開かれた。デジタル庁設置準備室には内閣官房、総務省、経済産業省など各部署のデジタル政策関連人員40~50人程度が集まってデジタル庁に対する下絵を描く。部署間の仕切りをなくし、デジタルに関連した総体的業務を受け持つ予定だ。平井卓也氏は前任者の「ハンコ議連」会長と違いデジタルの専門家である。
しかし中央日報は、こう結んでいる。
「日本では、各領域に散らばっているデジタル資源を1か所に集約する時に発生する利害関係の衝突をどう調整するかもデジタル庁設立の成否を左右する大きな要因になる。韓国経済産業研究院のキム・グァンソク研究室長は『デジタルトランスフォーメーション(デジタルによる変革)は社会の各領域で起きている。これに対する対応の仕方に国の未来がかかっている』と話した」
キム研究室長は、はっきり言わなかったが、記事の行間には「25年も遅れている日本の未来は大丈夫か?」と、危惧する様子が表れているようだ。
(福田和郎)